前回ブログのつづきです。
【マリアとウィンディーの物語 2】
◇こんな犬とは思わなかった
ウィンディーと共に、チャーリーの部屋に転がり込んだマリアは、今度こそは幸せになれるかもしれないと、淡い期待に胸を膨らませていました。
ところが・・・
ウィンディーはチャーリーにまったくなつきませんでした。
マリアの前の夫ロジャーがマリアに暴力を振るっていたのを見ていたせいで、男性を怖がるようになってしまったのかもしれません。
ウィンディーを撫でようとしたチャーリーの手に咬みつき、その後も興奮して唸り声をあげ続けました。
その後も、一晩中吠え続けるウィンディーを、マリアは必死ででなだめましたがウィンディーの興奮を鎮めることはできませんでした。
「マリア、ボクは確かに犬が好きだと言ったけど、キミのウィンディーがこんなに凶暴な大型犬だとは思わなかった。
このままでは、ボクまでこの家に住めなくなってしまう。
可哀想だけど、この犬はダメだと思うよ。
飼い主のキミの言うこともまったくきかないんだから・・・
明日、ウィンディーをどこかに連れて行ってくれ。
もしも、キミができないならボクがやるよ」
チャーリーにそう言われてしまったマリアは必死で懇願しました。
「お願いチャーリー、ウィンディーは慣れない場所で興奮しているだけなの。
何日かすればきっとおりこうになるから!!この子はわたしの家族なの!!お願いよ!!」
「わかった・・・じゃあ1週間時間をあげるよ。
1週間経ってもウィンディーが変わらなければ・・・わかってるね?」
◇ごめんねウィンディー
けれども、1週間経ってもウィンディーがチャーリーになつくことはありませんでした。
それどころか、相変わらずチャーリーに咬みつこうとしますし、ふたりが仕事に出ている間に、チャーリーの持ち物や家具を破壊してしまいました。
「さあ、1週間経ったよ マリア!」
「お願いよ、チャーリー、この子は大切な家族なの・・・・」
「いい加減にしてくれっ!本当なら1日だって我慢ならないくらいだったのに、約束したからこの1週間も我慢に我慢を重ねてきたボクの身にもなってくれ!
キミにとってボクは一体なんなんだ?
ウィンディーと一緒に住まわせてくれる便利なお人よしだとでも思っているのか?!
その凶暴犬を追い出せないなら、今すぐその犬を連れてボクの家から出て行ってくれっ!
そして、二度とボクの前に現れないでくれ!!」
チャーリーの見たこともないような怒った表情に、幼いころの義父からの暴力を思い出して身をすくませたマリアは、頭が真っ白になり 催眠術にかかったようにウィンディーを連れて家を飛び出しました。
2時間以上も歩き回ってたどり着いた緑地にウィンディーと並んで座り、たくさんたくさんウィンディーを抱きしめました。
「ごめんねウィンディー・・・きっと、私と一緒にいても幸せになれないよ。
誰か優しいお金持ちに拾ってもらうんだよ」
翌朝、緑地をお散歩していた一人のおばさんが、1本の木の幹に繋がれたラブラドールレトリーバーを発見し、警察に通報しました。
ウィンディーはマリアに捨てられたのです・・・・
◇やっぱり離れられない!
ウィンディーを緑地に置いてきてから、マリアは泣いてばかりいました。
緑地を後にするときに、悲しそうに鳴いていたウィンディーの声が頭から離れません。
今頃ウィンディーはどうしているのかしら・・・
怖い目に遭ったりしていないかしら・・・
心配で心配で気が狂いそうになっていた時、友達から1本の電話がかかってきました。
「マリア!あんたのウィンディーにそっくりな子がネットに載ってたわよ!迷い犬だって・・・まさかウィンディーじゃないわよねぇ?」
マリアは、それを聞いて居ても立ってもいられませんでした。
夢中でウィンディーを保護している人に連絡を取り、気づいたときにはもうウィンディーを連れて家の前まで戻っていました。
呆れ顔でマリアとウィンディーを迎え入れたチャーリーは、とても悲しそうな顔で言いました。
「入れよ。でも、もうキミとは一緒には暮らせない。
わかってるね?
明日から2週間、ボクは出張に出る。
その間に、犬を追い出すか、部屋を見つけて犬と一緒に出ていくかどっちかにしてくれ。
もしキミが犬を捨ててボクを選んでくれるなら・・・ボクはキミにプロポーズするつもりだ。
言っておくけど、ボクはこれでも大抵の男よりは寛大だと思うよ。」
◇決心
本当にそうだと、マリアは思いました。
チャーリーは世界中から見放されていたようなマリアとウィンディーに手を差し伸べてくれた男性でした。
マリアが指示に歯向かってウィンディーを迎えに行ってしまっても、マリアに手をあげることなく部屋に入れてくれました。
そればかりか、更に2週間の猶予をくれたのす。
「チャーリーほど愛してくれる男性にはもう二度と巡り合えないわ。
ウィンディーを連れて出て行けば、チャーリーのいる職場にももういられない・・・
やっとの思いで見つけた仕事も失ってしまえば、ウィンディーを養っていくこともできないじゃない・・・!
私ったら・・・チャーリーはチャンスをくれたのに・・・
彼に大変な迷惑をかけておきながら、自分のことばかり考えて、私はなんてワガママなの?
ウィンディーだって、こんな私といても不幸になるばかりかもしれない・・・
ウィンディーのことはもう・・・諦めよう」
◇さようならウィンディー
2週間後、チャーリーが帰宅すると、そこにはマリアと・・・
そしてウィンディーがまだいました!
チャーリーを見ると、激しく威嚇して吠えかかってきます。
「そういうことか・・・ガッカリだよマリア」
「ちがうの、チャーリー聴いて!お願いよ。
ウィンディーとお別れをすると決心したの。
でも、どうしても私にはできない・・・
だから、ウィンディーをあなたに託すわ。
そうすればもう、私はウィンディーを探せないから・・・」
そう言うとマリアはウィンディーがチャーリーに咬みつかないようにそっとウィンディーに口輪をつけ、リードをチャーリーに渡しました。
「今度こそ本当にさようなら、ウィンディー。きっと、幸せになってね!!」
「本当にいいんだね?」
チャーリーはウィンディーを車に乗せ、出発しました。
降りしきる雨の中、マリアは濡れた地面に座り込んで大声で泣きながら走り去る車を見つめていました。
◇運命のいたずら
さて、ウィンディーと別れてからのマリアの生活は、すべてが順風満帆・・・というわけにはいきませんでした。
決心してウィンディーを手放したものの、マリアは毎晩のようにウィンディーの夢を見てうなされるようになり、ふさぎ込んでばかりいるマリアにチャーリーはいら立ちを募らせるようになっていきました。
ふたりが破局し、マリアがチャーリーの家を出て行ったのは、ウィンディーを手放してからわずか1カ月後のことでした。
新しいアルバイトをしながら、マリアは1日たりともウィンディーのことを考えない日はありませんでした。
別れた次の日からウィンディーの足跡をインターネットで探さずにはいられなかったマリアは、ウィンディーが優しそうな一家の元で暮らしていることや、一家がウィンディーの飼い主を探していることを知っていました。
「ウィンディーに会いたい!!
会って謝りたい・・・!
でも、今迎えに行ってもまたウィンディーをひとりぼっちで留守番させるあの生活になってしまうだけ・・・
忘れなくちゃ!ウィンディーは今、きっと幸せだと・・・そう信じよう!」
そんなある日、1本の電話がかかってきました。
別れた夫、ロジャーです。
「マリア・・・オレが悪かった!
あの時はどうかしていたよ。
彼女は嘘をついていたんだ。
『妊娠した』って・・・
オレにはやっぱりマリアしかいないんだ。
もう一度チャンスをくれないか?
もう一度、やり直そう!
キミとボクと、そしてウィンディーと3人で!!」
自分の嗚咽で、マリアにはそのあとのロジャーの言葉は聞こえませんでした。
もう一度3人で暮らせる日が来るなんて・・・・神様は私を見捨てていなかったんだわ!
◇お願い、ウィンディーを返して!
マリアとロジャーは、地元の警察に行って事情を説明しました。
すると、優しそうな警察官は、こう言いました。
「マリアさん、よかったですねぇ!あなたのウィンディーは無事に保護されていますよ!
所有権はまだアナタにありますから、遺失物届をすぐに提出してください!
ウィンディーちゃんと、また一緒に暮らせますよ!!」
「ほんとうですか?!よかった・・・本当によかった!!!」
ウィンディーを今まで預かってくれていた優しいご家族にお礼をして、またウィンディーと一緒に暮らそう。
今までの分までうんと可愛がってあげよう・・・!
そう、胸躍らせるマリアに、翌日、警察から信じられないような内容の電話がかかってきました。
「お話しづらいのですが・・・
先方のご家族が、ウィンディーを返したくないと言っています。
あなたには飼い主の資格がないと・・・」
「そそそそ・・・そんなー・・・!!!」
(チャラリ~~~~ン♪)
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さてさて・・・私の安っぽい三文小説はココまでです。
マリアとチャーリーの濡れ場を期待されていた方には大変申し訳ありません(←いないっつーの)
「お庭番、なんのマネ?ブログ書くのに飽きたか?」
と思いつつお付き合いいただいた皆様に感謝申し上げます。
その後にマリアとロジャーが取った行動は、
「置き去りにされためぐちゃんのお話」
をお読みになられた方にはもうお判りですね?
マリアたちは、ウィンディーを預かっている家族を相手に裁判を起こし、5年近く闘い続けて遂にはウィンディーの養育権(所有権)を勝ち取ります。
もちろん、このお話はわたしが創作した完全なるフィクションです。
マリアもロジャーもチャーリーも、そしてウィンディーも実在しませんし、めぐちゃんの元飼い主の実際について、わたしはなーーんにも知りません。
なぜ、わたしが唐突にこんな三文芝居を書いたかー・・・(←気でも狂ったか?)
【めぐちゃんの元飼い主】
「置き去りにされためぐちゃんのお話」をお読みになった方は、めぐちゃんの元飼い主のことを、どう思われたでしょうか?
めぐちゃんの元飼い主の過ちについて考えてみたいと思います。
・交際相手が愛犬を公園に置き去りにするのを止められなかった。
・置き去りにされた愛犬をAさんが保護していることを知りながら、すぐに名乗り出なかった。
・すぐに名乗り出なかったにもかかわらず、自分が交際相手と別れ、愛犬と再び暮らせる状況になると、警察を通じてAさんに愛犬の返還要求をしてきた。
身勝手極まりないですね。
愛犬のことを「家族だ」と言いながら、まるで「モノ」のように愛犬の命や生活を右から左へと自己都合で安易に動かそうとしています。
わたしは、彼女の行動は明らかに間違っていると思いますし、許しがたい行為だと思っています。
けれども、
罪を憎んで人を憎まず
という言葉があります。
彼女は果たして「大悪党」なのでしょうか?
わたしたちは、この先の人生で何があっても絶対に彼女のようにはならないと言い切れるのでしょうか?
(お若い方は、もしかすると言い切れるかもしれません)
なぜ、このようなことをお話しているかと言うと、わたしの身の回りにも、とても優しい心の持ち主でありながら、不本意な形で愛犬を手放さなくてはならなくなった人や、精神的に過酷な目に遭って、正しい判断力を失い、愛犬に対して不適切な行動を取ってしまった人が何人もいるからです。
長くなりました。
つづきはまた次回にします。
※めぐちゃん裁判に関して、わたしは司法の判断に断固反対の立場です。
めぐちゃんの元飼い主を擁護するつもりはありませんので、誤解のないようにお願いいたします。
<きょうのPet Hotel 11!>
Cちゃん「みなさん聞いて~!午前中はまだ 雨が降っていなくて、お散歩もできたし・・・」 |
「お庭でも跳び回れたのよ~!」 |
「初対面の子たちもすぐに仲良しになれて・・・」 |
「みーんなでかけっこしたり・・・」 |
「お庭番にねえねえしたりできたんだけど・・・」 |
「午後は雨よ~~~~~」 |
「みんな大嫌いな雨降りなのよ~~~!」 |
なつ「ま、しょーがない」 |
Mくん&Sちゃん「そそ、仕方ないよ~ のーんびりしよ~」 |
Sくん「仕方ないから遊ぼっか?!」 Rちゃん「イヤよ~~」(;'∀') |
のんびり大好きさんたち(;^_^A どーでもいいけどボス、それはCくんのクッション だったら~! |
みんなおりこうに、お部屋とガレージだけで 遊んでくれました♪ |
Cちゃん「明日は晴れるでしょ?」 ・・・それが・・・台風らしいよ(-_-;) Cちゃん「はぁ~~~~~?!」 |