前回ブログでは、ご近所のMちゃんのお母さまが、お散歩中に転倒して頭を強く打ったお話をしました。
今日はPet Hotel 11!の常連「モカちゃん」の飼い主さんのお話です。
【高齢者の犬のお散歩】
●モカちゃんの飼い主さん
モカちゃんは、Pet Hotel 11!の超長期お預かり犬”なつ”とは以前、同じ飼い主さんの元で一緒に暮らしていた小さなチワワの女の子です。
現在のモカちゃんはお散歩大好きですが、当時はお散歩はむしろあまり好きではなく、連れ出してもすぐにおうちに帰りたがるような子でした。
そのため、歩く速度も決して早くなく、どちらかというとノソノソとかったるそ~~に歩く感じ(笑)
そのモカちゃんをお散歩中、何もない平坦な道で飼い主さん(お母さん)は転倒し、背中の骨を強く地面に打ち付け・・・
骨折してしまったのです!
原因は、モカちゃんが飼い主さんが踏み出そうとした足元にノソノソ入ってきて、モカちゃんを踏んづけまいと慌てた飼い主さんが足をもつれさせたというものでした。
モカちゃんの飼い主さんは、ペットホテルをOPEN準備中だったわたしたちにモカちゃんを預け、入院を余儀なくされてしまいました。
モカちゃんは、ボスや”なつ”と一緒に三浦海岸で暮らしていたんですよ~!
モカちゃんを預かっていた頃の写真。 真ん中のかわいこちゃんがモカちゃんです。 |
結局、飼い主さんがモカちゃんをお散歩できるくらいに回復するまでには半年くらいかかってしまいました。
●高齢の飼い主さんと小型犬
Mちゃんの飼い主さんもモカちゃんの飼い主さんも、いずれも高齢女性ですが、普段お散歩をされている姿は足取りもシッカリとされていて、むしろとてもお元気そうでしたし、同年代の人よりもたくさん歩いていらっしゃいましたので、脚力もあったように思います。
おふたりの転倒に共通しているのは、
「飼い犬のお散歩中、愛犬のふいの動きによって・・・」
ということですが、Mちゃん、モカちゃん いずれもとっても軽量な小型犬ですし、どちらも性格はおとなしく、無理に飼い主さんを引っ張るような性格の子ではありません。
にもかかわらず、おふたりの高齢女性は、いとも簡単に転倒してしまいました。
もしも打ち所が悪かったら・・・とゾっとするような転倒事故でした。
わたしは、共通点が多い身近なおふたりの高齢女性の転倒事故を、単なる偶然だとは思えません。
●油断大敵
わたしは、ふたつの転倒事故の原因は、”油断”だったのではないかと思います。
他の人に比べてお元気だった高齢女性と小型犬のお散歩は、ご本人たちにとっても、周りのご家族にとっても危なげなく映っていたことでしょう。
もし、おふたりの女性がもっとヨロヨロと危なっかしい足取りで歩き、”いかにも高齢者”の様相を呈していたら・・・
もし、Mちゃんやモカちゃんがもっとヤンチャな中型犬だったり、重量級の大型犬だったりしたら・・・
果たして1人で愛犬をお散歩させていたでしょうか?
今回のふたつの転倒事故は、皮肉にも
「絶対に転倒事故などないだろう」
という油断が招いた事故だったように思うのです。
●元気ハツラツな高齢者ほど・・・
ひと昔前は、60才といえば立派なお爺さん&お婆さんでした。
昭和16年に作られた「船頭さん」という歌の歌詞に
「村の渡しの船頭さんは 今年六十のお爺さん~♪」
とあるくらいです。
※ちなみにこの「船頭さん」という歌、今回調べて解ったのですが、太平洋戦争突入の直前に作られた歌だったため、
「60才のお爺さんですら、お国のために働いているのだから、君たちも早く立派な人間になって、お国のために尽くしなさい」
という意味が込められていたそうで、戦後になって2番と3番の歌詞が”牧歌的”な内容に書き換えられたそうです。
ところが、医療の進歩で寿命も健康年齢も延び、今や60才といったらまだ現役バリバリで働いているイメージがありますね。
60才の有名人を想像してみてください。
キャスターの安藤優子さん、俳優の時任三郎さん、クイズ女王の宮崎美子さん、タレントの久本雅美さんなんて、誰が見てもお爺さんでもお婆さんでもありませんね。
けれども、どんなに若々しく見えても、老いは徐々にではありますが、やはり確実に進行していきます。
東京消防庁の統計を見ると、「転倒事故」によって救急搬送される人の数は、60代半ばを境にグンと増えています。
実際には筋力や認知能力が衰えてきて大変転びやすくなっているのに、ハツラツと元気そうな高齢者が増えているために、ついついご本人も周囲も転倒事故への注意を怠りやすいということは頭に入れておいた方がいいかもしれません。
●家族から見た高齢者
わたしたちは、親を元気なころから継続的に見ているために、両親の「老い」に気づきにくかったり、見て見ぬふりをするという傾向があります。
わたしも80才になる立派な後期高齢者の母を持ちながら、「母はとにかく歩くのが速くて元気」だと思い込んでいるフシがあります。
自分の中にしみついたかつての母のイメージが強いんですね・・・あるいは希望的な見方でしょうか・・・(-_-;)
けれども実際に、母の歩き方は明らかに危なっかしくなっています。
自分で「越えられる」と思った段差でつまづくようになっています。
ですから、わたしたちは母の体調がいい時にはなるべく母に自分の愛犬(ボス&なつ)のお散歩をさせるようにしてはいますが、最近は必ずわたしたちが同行するようにしています。
母とボスと”なつ” |
お仕事をされていて、親御さんにワンちゃんのお散歩をお願いしている飼い主さんは、改めて安全対策についてご家族でよく話し合ってみてくださいな。
●小型犬ほど・・・
大型犬の飼い主さんは、そもそも引っ張られると大事故に繋がる危険性をイヤってほど知っていますから、飼い始めて間もなく、引っ張りをやめさせるしつけをしていることがほとんどです。
きちんとしつけられた中型犬や大型犬は、リードを持っている人の歩調に合わせようと、常にその様子に気を配っています。
ところが、小さくて軽い小型犬の飼い主さんの多くは、引っ張られても簡単に制御できてしまうため、引っ張り矯正訓練をしている人は本当に少ないです。
ご近所で犬のお散歩をしている飼い主さんたちを思い浮かべてみても、飼い主さんよりもうんと前をフレキシブルリードなどでチャカチャカと好き勝手に歩いているのはほぼ小型犬ではありませんか?
そんな小型犬たちは、お散歩の時間は飼い主さんを引き連れて自由気ままに歩ける時間くらいに考えていますから、きちんとしつけられた中型~大型犬のように お散歩中に飼い主さんに注意を払うことをあまりしません。
Mちゃんのお母さまも、モカちゃんの飼い主さんも、いずれも強く引っ張られたことによって「力負け」して転んでしまったのではなく、不用意にご自分の足元で動いた小さな愛犬に「不意を突かれたり」「慌てたり」することでバランスを崩したりつまづいたりして自ら転倒してしまっていますね。
そういうことを考えると、愛犬の寿命も飼い主さんの寿命も延びている今、たとえ小型犬であっても、早いうちからきちんと飼い主さんに着いて歩くようにしつけておくことの重要性をあらためて感じています。
お宅のワンちゃんは、お散歩の時、アナタの様子に気を配りながら、アナタに合わせて歩いていますか?
アナタの方が愛犬の様子に気を配りながら、愛犬に合わせて歩いてしまっていませんか?
「可愛いこの子のせいで転んじゃったとしても別にいいわ♪」
なんてノンキなことを言っている場合ではありません。
転倒してアナタが意識を失ったら?
リードを離してしまったら?
「可愛いこの子」は、車道に飛び出してしまうかもしれないんですよ~~~!!
<今日のPet Hotel 11!>
ウリくん、キミって子は・・・ |
ホント、犬なつっこいねぇ~♪ |
チャコ「土遊びさせてくださーい」 ダメで~~す!まだドロドロだから立入禁止でーす! |
どこでフテ寝してんの・・・(-_-;) |
ホラ、Aちゃんとウリくんを見てごらんよ! |
土のところに行けなくてもこんなに楽しんでるでしょー? キャハハキャハハーー!! |
Lくんは走ってないけど おりこうさんにお水の順番待ち(笑) |
あ、ここにもフテ寝犬がいる・・・(-_-;) |
ウリくん&チャコ「Lくん、帰っちゃうの~?」 Lくん「どーも、お世話になりました~」 とってもおりこうさんだったね。 また遊びにおいでねー! |
夕方はすっかりいいお天気になったよ! やっぱりお散歩はサイコーー♪ |