前回のブログに続いて、人間が犬たちの繁殖に介入して外見を変化させてきた歴史についてお話していきます。
【更なる多様化】
●ルネッサ~~~ンス♪
中世ヨーロッパの後期(13C~15Cごろ)になると貴族たちが台頭して、地位と権力の象徴である”狩猟”が隆盛を極めました。
貴族の狩猟は、生きるための狩猟とはまったく別物です。
趣味よ趣味!!お戯れヨ~♪
狩猟に興じる貴族たちのこだわりは、それまでも活躍していた狩猟犬を、更に用途に応じて細分化させる目的で、繁殖介入に拍車をかけることになりました。
単なる猟犬では事足りず、
鹿狩り用の猟犬(ディアハウンド)
カワウソ狩り用の猟犬(オッターハウンド)
狼狩り用の猟犬(ウルフハウンド)
など、次々と新しい犬種が育種されていったんですね。
それだけではありません。
貴族たちは獲物に特化した猟犬を互いに自慢し合いました。
そうなってくると、単に狩に有利だというだけでなく、自分たちが連れている犬の姿形の優美さにもこだわりを持つようになっていきました。
機能的、かつ美しい犬を追い求める貴族によって、たくさんの犬種が生まれたんですね。
●余興のための犬
貴族たちの狩猟犬とは別に、13C~19Cにイギリスで盛んに行われていたベアベイティングやブルベイティングという見世物のため、このお遊びに有利な犬種も作り出されました。
ブルベイティングについてご存じない方はコチラをお読みください。
この、あまりに悪趣味で残虐な余興は、動物愛護の概念が人々の間に生まれてくると同時に禁止されましたが、ブルドッグなどの短頭種(鼻ペチャ犬たち)は、このころに生まれ、今でもその特徴的な外見をもった犬種は作られ続けています。
ブルベイティングがなくなったため、ブルドッグはその後、一般家庭で飼育しやすいように温和な性格に改良されていきました。
けれども、皮肉なことに、その身体的特徴は更に強調されるようになり、現在のように多くの疾患リスクを抱えるようになってしまったと言われています。
これは、後述するケネルクラブの誕生とも大きく関わっています。
●愛玩犬(ペット)隆盛時代
18C~19Cに起きた産業革命は、人間の生活だけでなく、犬たちの生活にも大きな変化をもたらしました。
人々の暮らしが著しく向上して豊かになった結果、イギリス国内には時間とお金をもてあました中産階級の人たちが急増したのです。
それまでは貴族など、ごく少数の上流階級だけが所有することができた犬を、中流階級の人々が飼うことができるようになりました。
彼らにとって、犬を所有することそのものが目的でしたから、狩猟犬でも軍用犬でも牧羊犬でもない、愛玩犬が大ブームとなりました。
愛玩犬の役割は、番犬もしくは癒しの存在でした。
その結果、この時代には、番犬としてよく吠える大きな声の犬や、ご家庭で飼育しやすい小さな犬がジャンジャン育種されるようになりました。
とりわけ、より小型の犬を作り出すという繁殖介入は過熱していったのです。
ここで登場したのがケネルクラブです。
●正しく美しい姿の規定
愛玩犬(家庭犬)の大ブームに乗じて、あまりに多くの犬種が生み出されたため、これを整理するという目的でケネルクラブがイギリスで誕生したのは1873年のことです。
ケネルクラブは、犬の”あるべき姿”を定めた犬種標準(スタンダード)を作成しました。
また、ケネルクラブはドッグショーを開催するようになりました。
このドッグショーというのは、犬の外見がいかに犬種標準に近いかを競う大会です。
お金と時間をもてあました人々にとって、ドッグショーは最高の社交場となりました。
そのため、人々はドッグショーに熱狂し、犬種の外見を際立たせるような改良が大流行したのです。
また、ケネルクラブに認定してもらおうと考える人たちによって、新しい犬種を生み出すための繁殖介入も、更に加速していきました。
バブリ~~~~♪(←平野ノラ風味で)
●ビジュアル重視へ
人間と”やさしめのオオカミ”が共存するようになってから今日に至るまで、犬たちは常にわたしたち人間の、その時代のニーズに応じた選択繁殖を繰り返されてきたことがわかりましたね。
そして、ケネルクラブの誕生以降、それまでは狩猟犬や軍用犬、牧羊犬などといった特定の役割を果たす目的で作り出されていた犬種の育種は、大きく様変わりします。
つまり、近代~現代の犬たちに求められているもののメインは
ビジュアルと飼育のし易さ
になったということです。
その結果、より小さな犬種、より優雅な外見の犬種、より可愛らしい犬種、人懐こい犬種が次々に生み出されるようになりました。
現在、世界各国のケネルクラブを束ねている国際畜犬連盟 (FCI)では330種以上の犬種を公認していますが、その多くは18Cに入ってから人間が作り出したものです。
オックスフォード大学のグレガー・ラーソン博士によると、現在地球上に存在している犬が由来している遺伝子は、最も古いものでもせいぜい500年前からのものだということが判っています。
更にラーソン博士は、大多数の犬は遺伝子的に150年程度の歴史しかないとしています。
これは、現存する犬の多くが、実は産業革命以降に生じた新犬種を作り出すというブームによって生み出されたことを裏付けるものです。
犬種は今でも増え続けています。
豆柴やティーカッププードルといった犬種もつい最近まではなかった犬種ですよね?
でも、現代では犬はあまりにも一般的なペットです。
有閑マダムのステータスを競い合うような状況とは程遠いと思いませんか?
それなのになぜ、今でもしきりに新しい犬種が作り出されているのでしょう?
長くなるので続きは次回にお話しまーす!
<今日のPet Hotel 11!>
今日の朝焼けも、言葉を失うくらい綺麗だったね♪ |
そんなに折り重なるようにくっつかなくても・・・(-_-;) |
このハンバーガーのおもちゃ、もうボロボロなのに なぜかワンコたちに大人気! どこで買ってきたんだっけなぁ・・・ 100均だと思ったんだけどなぁ・・・ |