2018年7月21日土曜日

使役犬は不幸なのか?③(最初はみんな使役犬)

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。





前回ブログでは、「使役犬=虐待だ!」という考え方に対してのわたしの基本的な考え方として、


使役犬であろうが愛玩犬であろうが、人間の管理下に置かれた犬が過度のストレスや苦痛を人間に与えられていて、本犬さんが不幸せだと感じていたなら それは虐待。

だから、使役犬はみな虐待を受けているという考え方には賛同できない。


というお話と、


犬にとって、何らかの役割を与えられることは、群(家族)における自分の存在価値を実感できるという喜びに繋がるもので、それは「犬本来の喜び」のひとつだ

というお話をしました。



「家庭犬の欠点をわざわざ探して使役犬と比較しなくてもよいのでは?」


というご指摘をいただきましたので、くどいようですが、ここで再度確認させていただきます。

わたしは「使役犬=虐待」ではないと思っておりますが、だからといって「使役犬の方が家庭犬よりも幸せだ」とも思っていません。

「使役犬だから」とか、「家庭犬だから」ということではなく、その子の幸不幸は個別の状況によって決まるということをお話させていただいております。

「公務員=不幸 で 会社員=幸福」という人がいたら「そうとは限らないし、逆の場合もあるよ」って思いませんか?

そういうお話をさせていただいています。

家庭犬のお話を使役犬との比較対象として話題に出しているのは、

「使役犬=虐待だ」と主張している人たちが、家庭犬と比較してそのようにおっしゃっているため、解りやすくする目的でそのようにしております。

ご理解いただけましたら幸いです。



前置きが長くなりました。

さて、今日は そもそもの人間と犬との関係についてお話していきたいと思います。


【犬と人間はどうして仲良くなったのか】


●最初の家畜


犬は、人間が一番最初に家畜化した動物です。

諸説ありますが、狼の中でも頭がよく比較的温和な性格の数匹が、


「人間の群にくっついて行くといいことがあるぞ!」


と気づいたことが始まりではないかと言われています。

人間が獲物を捕らえ、食事を終えると内臓や骨を捨てます。

それらは犬の祖先である狼の大好物だったので、労せずしておこぼれをもらえるというワケですね。

狼は通常、群で狩をして獲物を捕らえ、分け合いますので、わたしは勝手に、最初に人間に寄ってきた狼たちは、何らかの理由で小規模の群になってしまったので、もはや狩が上手にできない状況にあった子たちなのかもしれないなぁ・・・などと想像して楽しんでいます。

一方で、人間の方も、狼が自分たちにくっついてくることには大きなメリットがありました。

人間よりもはるかに聴力も臭覚も優れた犬の祖先は、外敵の接近にいち早く気づいて人間に知らせてくれますし、狩をする時に彼らをけしかけることで、成功率も格段に上がったことでしょう。

犬と人間の関係は、そもそも互いにメリットを享受できるWIN-WINの関係だったのですね。



●元は相利共生?


異種の生物がお互いにWIN-WINの関係にあるために共生していることを「相利共生」と呼びます。

たとえば、エビとハゼは、次のような相利共生の関係です。


海底の砂地に穴を掘って暮らすエビ。

ハゼは、そのエビが掘った穴に居候させてもらう代わりに、穴の入り口の見張り番を買って出ます。

エビは2本の触覚のどちらかの先端をハゼの身体に触れさせておき、ハゼが危険を察知してブルッと体をふるわせると穴に逃げ込みます。

もちろん番ハゼもエビの巣穴に逃げ込ませてもらいます(笑)

つまり、ハゼはエビへの家賃代わりに門番をしていることになりますね。


犬と人間も、そもそもは相利共生の関係だったと言われています。

(猫もそうです)



●先見の明?


実際、狼の多くの種類は絶滅の危機を迎えましたが、狼から枝分かれして人間と共生する道を選んだ犬は隆盛を極めました。

こうしてみていくと、犬や猫は、人間が食物連鎖の頂点に立つということに気づき、その人間に寵愛される存在になることで、自分は人間の被食対象から逃れると共に、人間の庇護の元繁栄し続けた、とても賢い生き物だということになりますね。

人間から、安全な居場所と食糧を与えられ、安心して子孫を残していくという生き方を選んだ犬たちにとって、人間からその存在価値がないと判断され、見捨てられることは自分たちの生死に関わる大問題だったはずです。

そのため、犬たちは人間がこよなく愛する可愛らしい仕草や表情を身に着け、人間が求める役割をこなして生き延びてきたわけです。

実際、一部の農耕民族はその昔、犬の肉を食用としていましたが、現在では犬食の文化を持つ国は非常に少なくなってきていて、愛犬家たちからのバッシングによってみるみる縮小傾向にありますね。

これは、ある意味 犬たちの戦略勝ちと言ってもいいのではないでしょうか。

動物たちにとって最も恐ろしい存在である人間に養ってもらうという特等席を手に入れたんですから!!



●愛玩犬の登場


人間にとって、はじめは犬たちは「役に立つからそばに置いている存在」だったことがわかりましたね。

つまり、犬は人間にとって、最初はみんな「使役犬」だったということです。

主な用途は、番犬、猟犬でした。

更に 軍用犬、牧羊犬など、様々な用途に応じたたくさんの犬種を作り出しました。

同じ猟犬でも、水鳥を拾ってくるレトリーバーや、アナグマにしつこく吠えたてるダックスフントなどなど・・・

そしてそして・・・・BC1500年ころに、最古の愛玩犬といわれるマルチーズが誕生しました!

マルチーズは、長い航海に退屈しないようにと、いわゆるペット(愛玩動物)として船乗りに可愛がられるようになったワンちゃんなんですね。

つまり・・・愛玩犬のお仕事は、「人間の寂しさを紛らわし、人間に可愛がられること」だったというわけです。


嗚呼・・・なんとゆうことでしょう?!

犬たちのあの、愛らしいつぶらな瞳や、抱っこをせがむあの超絶カワイイ仕草・・・実はあの子たちのお仕事だったんですねぇ~~!!


どうしましょう?

夜になると


「あー疲れた!今日も飼い主さんが喜ぶようにシッポフリフリして抱っこをいっぱいせがみ、よく働きましたーっと!」


なーんて犬たちに思われていたら・・・(;´Д`)


「使役犬=虐待」とする人たちの主張のひとつに


「使役犬は自分でその仕事を選んだわけではない。(職業選択の自由がない)」


というものがありますが、犬という生き物は、そもそも人間のために仕事をして安住を得るという生きる道を選んだ動物であると考えることもできるかもしれませんね。



●良好な関係を保つために


犬と人との相利共生を良好に維持することがフェアだとしたら、当然 一方的にわたしたち人間が犬を利用するばかり・・・といった関係は、犬と人間の間に交わされた契約に違反していると言わざるを得ませんね。

ですから、いわゆる使役犬と呼ばれるお仕事を与えられた犬たちには、雨風や暑さ寒さをしのげる居住空間と食餌や新鮮な水など、適正な使用環境を提供する義務がわたしたち人間にはあるということを忘れてはなりません。

そして・・・特段のお仕事を与えられていない、いわゆるご家庭のペット(愛玩犬)たちにしても、その存在に日々わたしたちが癒され、生甲斐を与えてもらっているとしたら、立派に彼らの役割をこなしているといえるでしょう。

その大事な役割に対して、やはり快適な飼養環境を与える義務がわたしたちにあるということですね。





<今日のPet Hotel 11!>

暑い日はプールプール♪

ナツ「早くおいでよ、短足ボスー!」
ボス「チェッ・・・自分だって短足のくせに」

はじめまして!Pくんで~す♪
すぐにみんなと仲良くなったよ!すごいでしょ?!

Sくん「ねえねえ、チャコちゃん
ちょっと立って見せてよー」

チャコ「じゃあ・・・」

チャコ「絶対に笑わないでよ~」

あんまり脚の毛がボーボーで草やドロボウさんを
毎日くっつけてくるから・・・
お庭番に脚だけ短く刈られてしまったチャコ
バランスがヘンで~~~す
脚、伸びた~?(* ̄0 ̄)

Pくん「アハハハッ!」

Gちゃん「キャハハハーーツ!!」

Rちゃん「ウヒャヒャヒャヒャーーー♪」

ナツ「チャコのヘンテコリン~~~(笑)」

ナツもやってあげようか~~~?

ナツ「・・・・・・いやです。ごめんなさーい 汗」