前回ブログでは、盲導犬、聴導犬、介助犬などの補助犬の問題点について、盲導犬の例を挙げてお話してきました。
今日は使役犬として最も古い歴史がある軍用犬についてのお話です。
【軍用犬には大反対】
●軍用犬の歴史は古い
人間が狼を家畜化し、使役の目的に応じて選択育種を行う過程で出来上がった豊富な犬種の歴史を見ていくと、最も古い使役犬は猟犬だったと考えられています。
そして、猟犬に続いて人間が生み出した使役犬、それが戦争に利用するための使役犬=軍用犬です。
わたしはずっと、人間のお仕事を犬に手伝ってもらうこと全てを虐待と呼ぶ人々の考え方は論理の飛躍だとお話してきました。
虐待と思われるケースもあれば、まったくそうではないケースもあるということですね。
けれども、この歴史の古い軍用犬という使役犬に関しては、個人的にハッキリと反対の立場を表明させていただきます。
過去の戦争に駆り出された犬たちにまつわるお話は、以前に書いたコチラ↓の記事をお読みください。
戦争に翻弄される犬たち①
戦争に翻弄される犬たち②
●問題は”扱い”ではなく”目的”
過去の歴史に登場した軍用犬のように、爆弾と起爆装置を体にくくりつけられて敵地に送られるような非道な使われ方をしている軍用犬は、少なくとも先進国ではなくなっているようです。
紛争地帯や戦場に送られる軍用犬は、必ずバディ(相棒)と呼ばれるハンドラーと常に一心同体で行動していますし、体調が悪くなったり負傷したら軍医から手当てを受けるなど、軍人と同様の大切な扱いをしてもらっているようです。
また、他の使役犬と同じように、彼らは決して自分のお仕事を辛いとは感じておらず、むしろとても楽しそうにイキイキと任務をこなしています。
極限状態の中で、ハンドラーと強い絆で結ばれ、生死を共にする軍用犬のエピソードは、しばしば美談として語られますし、実際、それらのエピソードを見聞きしていると目頭が熱くなります。
軍用機から海へダイブする軍用犬 |
ヘリで任務地へ向かう軍用犬 目を守るためにゴーグルをつけてもらっています。 |
ハンドラーの身体にしっかりと固定され、 ヘリから降下する軍用犬 |
束の間の休息をハンドラーと共に過ごす |
エキサイトし、体温が上がりすぎた軍用犬の 元に軍医が駆け付け、点滴をしている様子 |
軍用犬の存在は兵士にとっての癒しにもなっているようです。 |
2007年、イラクとアフガニスタンの紛争地帯で 共に命を落とした兵士とその相棒 軍用犬が戦場で命を落としたのは ベトナム戦争以来初めてのことだったそうです。 |
兵士たちにボールで遊んでもらっている軍用犬 |
共に命がけの仕事をするハンドラーと軍用犬は 強い絆で結ばれているのは確かです。 |
このように、大変危険な任務をこなす軍用犬といっても、他の使役犬と変わらない点も多く、その扱いも決して悪くないと解っていてもなお、わたしはやはり、軍用犬という使役犬自体をなくすべきだと考えています。
それは単純に、どんなに美しい犬と人間の絆のストーリーになったとしても、
「人間の勝手で始めた人間同士の争いに犬を巻き込んでいる」
という事実は曲げられないと思うからです。
●いい迷惑
ハッキリ言えば、わたしは使役犬自体の存在は、むしろ好きです。
古くからの人間の相棒として、人間と共に生活に根差した仕事をしている使役犬たちは、人間に対して”借り”がないという意味で真に自由なように思えますし、お仕事をすることによって彼らは尊厳やプライドを保てているように見えるからです。
それは、「使役犬は、犬本来の楽しみを奪われている」という意見の人たちとは真逆の考え方なのですが、彼らは喜びと誇りを持って働いていると考えていますし、また、わたしたちは そうなるように十分に配慮しながら犬たちにお仕事を与えなくてはならないと思っています。
一方で、犬は基本的に友好的で争いが嫌いな生き物です。
彼らが互いの命を奪うような行動をとる時は、自分自身や群を守る目的のためだけで、無駄な殺生はしません。
飼い主さんご家族がケンカをしていると必死で止めに入ったり、困った顔でオロオロするワンちゃんはとても多いですね。
そんな犬たちに戦争の手伝いをさせることに、わたしはひどく抵抗を感じています。
人間の暮らしの手伝いをする、牧羊犬、猟犬、補助犬、そり犬などといった使役犬や、
人命救助や安全を守るお仕事を手伝う、警察犬、災害救助犬、探知犬などには、手伝わせているお仕事自体に意味があるように思えます。
でも、戦争にはどんなに意味付けをしたところで、誰一人幸せになることのない愚かで不毛な殺し合いであることに変わりはありません。
頼むから、バカバカしい殺し合いに、犬や一般の民間人の命を巻き込むことなく、戦争をしようと決めた人たちだけで勝手にドンパチやってほしいものだと思います。
●大好きな盲導犬
わたしたちがいつもワンちゃんたちをお散歩させている海岸で、毎日のように盲導犬(ラブラドールレトリーバー)を連れている初老の男性がいます。
すれ違う際には道を開けて「おはようございまーす!」とあいさつを交わすだけの間柄ですが、わたしたちはその方と盲導犬が大好きです。
※盲導犬はじめ、介助犬に声をかけたり触ったりすることは、お仕事の邪魔になりますから絶対にやめましょう。
目の不自由なその男性は、毎日 朝と夕方に盲導犬と一緒に海岸の遊歩道にお散歩にやってきて・・・決まった場所で砂浜に降りると、そこで盲導犬のハーネスを普通のリードに付け替えてあげます。
すると、遊歩道では他のワンちゃんに吠えられても動じることなく歩調を乱すこともなく、まっすぐ歩いて男性を誘導していたその盲導犬が、まるで別犬のように無邪気に砂浜ではしゃぐ様子が見て取れます。
その時間は、男性と盲導犬にとって欠くことのできない大切な楽しいひと時なのでしょう。
毎日、海岸でみられるその光景は、実に平和で地味な日常の光景でしかありません。
戦場で生死を共にした兵士とK9(軍用犬)にまつわる美談のようにメディアで華々しく取り上げられるような類(たぐい)のものでは決してありません。
けれどもわたしは、お互いをかけがえのない存在として大切に思い、お互いの幸せを尊重し合っているその対等の関係に、本当に理想的な人と犬との関係を見ているような気がして、とても胸が熱くなるのです。
三浦海岸が天国に見える瞬間なんですね~~♪
すべての使役犬と人間が
すべての家庭犬と飼い主さんが、
すべての人間と人間が・・・
あの男性と盲導犬のように、思いやりに満ちた対等な関係でいられたら、戦争なんて起こるはずがないのに
そんな風に思っています。
<今日のPet Hotel 11!>
朝の海岸さんぽ 向こうからやってくるワンちゃんと遊ぼうと 待ちかまえるMくん |
物置の下のトカゲかなんかを狙うナツ (-_-;) |
初日はビクビクして腰が引けていたMくんがねぇ・・・ すっかり よかったよかった(^▽^) |
大好きなボール遊び 頭にボールを乗せて「マテ」しています。 上手~~~(パチパチ♪) |
午後になってやってきた、遊びの天才Nちゃん Mくんとずーーーーーーっとワンプロ (;'∀') |
あらまあ、こわい顔~~~~ |
こんな怖い顔してても・・・ |
ちゃんと遊びのルールを守っています。 えらいねぇ~~! |
はい、ちょっと興奮しすぎたから休憩しなさーーい! Nちゃん&Mくん「あーーい」 |
静と動のギャップが激しすぎる合理的なNちゃん ちょっと心配になっちゃった、まだ子供のMくん 「Nちゃん?ダイジョーブ?」 |
Nちゃん「ダイジョブよ!休憩しなさい!」 Mくん「フンガッフッフ」 |
サイコーの遊び友達ができてよかったね~~♪ |
夕方になってやってきたSくんは・・・ 他のワンちゃんが怖くてビクビク 人間にはガルガル(笑) でも、お散歩はとっても上手だったよ~! がんばろーね (^▽^)/ |
こちらも夕方になってやってきたPくん 同じく生後7カ月のMくんと仲良くなれそうだね♪ |