前回のブログでは、「使役犬=虐待だ」とおっしゃる人たちの
「使役犬は自分でその仕事を選んだわけではない。(職業選択の自由がない)」
という意見について、そもそも犬は人間のために働く代わりに人間に飼養してもらうことを選んだ生き物だというお話をしました。
とはいうものの、
「じゃあ日本人は農耕民族だから全員土いじりが好きか?」
ってゆーとそんなことはないのと同じように、犬が人間のために働くという道を選んだ生き物だからって、みんながみんな使役犬に向いているとは限りませんね。
「犬ってヤツぁ~、人間の役に立ってナンボのもんなんだーっ!!」
とか言って飼い主がムチを振り下ろして言うなりにさせようと犬をこき使ったりすれば、それはもう間違いなく虐待なワケです。
でも、使役犬と呼ばれる犬たちには、本当に職業選択の自由がないのか?といえば、そんなことはないので安心してください。
【使役犬の職業選択の自由】
●使役犬の種類
現在、わたしたちの身の回りには、以下のような目的に応じてたくさんの種類の使役犬たちが活躍しています。
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猟犬
そり犬
牧羊犬
軍用犬 (海上自衛隊では警備犬、航空自衛隊では歩哨犬)
水難救助犬
爆発物探知犬
麻薬探知犬
銃器探知犬
検疫探知犬(動物検疫検査を必要とする肉製品などを嗅ぎ分る)
DVD探知犬(海賊版ソフトの密輸防止を目的として光ディスクの臭いを嗅ぎ分ける)
がん探知犬(被験者の尿の臭いからガン細胞の臭いをかぎ分ける)
災害救助犬
警察犬
警備犬
身体障害者補助犬
盲導犬
聴導犬
介助犬
セラピードッグ
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改めて見てみると、心の底から犬たちに「ありがとう」という感謝の気持ちが芽生えてくると共に、犬ってすごいなぁー!と感心してしまいますね。
●適正審査
さて、上記のような使役犬に、どんな犬でもなれるんでしょうか?
答えが「NO」だということは、誰でも知っていますね。
それぞれの使役犬になるためには、必ず審査があります。
まず、使役犬としての訓練を積む前の段階で、
・そのお仕事に耐えられる健康状態か?(持病などがないか)
・そのお仕事に向いている性質か?
という”適性の見極め”がされます。
そこで「見込みあり」となっても実際の訓練をしてみたら、残念ながらその使役犬としては不適格だった・・・ということもあります。
そんな風にして、最終的に目的に合った使役犬になれる確率は、たとえば盲導犬なら30%程度、災害救助犬に至ってはわずか4%程度だといいます。
盲導犬になれる確率の方が比較的高いのは、既に盲導犬に向いている犬を子犬の時に見極めるノウハウができあがっていることや、盲導犬が活躍する場は視覚障がい者が行ける場所・・・つまり原則として安全に歩行できるような場所だということなども関係しているようです。
様々な役割を担った使役犬の訓練方法がある程度確立していて、熟練の訓練士が訓練したとしても、
「どんな犬を連れてきても100%立派な使役犬にしてみせましょー!」
ってなワケにはいかないってことですね。
それは何故だと思いますか?
●「信頼関係」と「楽しい♪」が訓練の基本
よく、
「こんなこんな、こーーーんな厳しい訓練を積んで、立派な使役犬になるんですよ~!」
というようなお話を聞いたことがある方がいらっしゃるかと思いますが、それはあくまでも、
「ね?使役犬ってすごいでしょ?!」
ということを表現しているだけです。
もちろん 立派な使役犬になるためには、気が遠くなるほどの訓練士さんの根気を必要としますし、数多くの訓練ステップをこなす必要がありますから、厳しい訓練には違いありません。
けれども、裏返せば 基本的には本犬さんが訓練を楽しみ、訓練士さんに褒められたいと進んで訓練に臨まなければこなせないような訓練だってことです。
「イヤダイヤダーーーーっ!!」
って泣き叫んで抵抗しているような犬に、無理やりムチや恫喝でクリアさせられるような訓練ではないよって意味ですね。
どんな種類の使役犬であっても、基本的に人間のことを好きで、人間を信頼していることが土台となります。
そのため、子犬のころはパピーウォーカーさんの元で、厳しい訓練とは無縁の、ただただ楽しい時間を過ごすんですね。
そして「人間大好き♪」と人間への信頼の土台ができた子が、いよいよ訓練に入っていくわけですが、そこでも基本的には犬たちが
「ヤッタ!褒めてもらったぞ、嬉しいな♪楽しいな♪」
と楽しみながら上達していく訓練方法が取られています。
「ああ、イヤだなぁ・・・今日もまたあの訓練か・・・」
なんて感じている子は、そもそも訓練過程で落第してしまいますから、最終的には使役犬になることはありません。
家庭犬が、飼い主さんから
「お散歩に行くよー!」
と言われて、シッポをフリフリして立ち上がるように、訓練士さんから
「さ、今日も訓練するよー!」
と言われると、遊んでもらえると大喜びで訓練に向かうような子たちが立派な使役犬になるってことですね。
そのように考えると、使役犬たちは確かに自分から
「ボク、大きくなったら災害救助犬になるんだっ!」
と立候補したワケではないかもしれませんが、
・それぞれのお仕事に合った性質の子たち
・人間が大好きで、人間の役に立って褒められることが大好きな子たち
・訓練を楽しい遊びだと捉えて、ぐんぐん新しいことを吸収していく子たち
であることは確かなようですね。
もしかすると、わたしたち人間なんかよりも、ずっとその子の性格に合ったお仕事をさせてもらえているのかもしれませんね(;'∀')
【使役犬の寿命は短い?】
もうひとつ、「使役犬=虐待だ」と考えている人たちがよく
「使役犬はその過酷な労働やストレスのために、平均寿命が大変短い」
とおっしゃっていますが、これは恐らく、どなたかが「そんな気がする」と思って言ったり書いたりしたことが、まことしやかに世に広まって、都市伝説化したものと思われます。
1975年~2006年までの期間、国内にある8つの盲導犬育成施設から盲導犬として実働していた447頭の死亡年齢の調査統計を取った結果が発表されています。
その結果、盲導犬として実働していた犬の平均寿命は12歳11か月で、死亡年齢が15歳を超える割合は25%でした。
そのうち、ラブラドールレトリーバーの平均寿命は、80年代で11歳、90年代で12歳3か月、2000年代にはいると13才7カ月で、いずれも家庭犬の平均寿命の調査結果と比較して高かったそうです。
(参考論文:盲導犬の平均死亡年齢について)
盲導犬として採用される犬種に小型犬はまずいないことを考えると、確かに決して寿命は短くありませんね。
また、引退した盲導犬は民間の人に引き取られているため、盲導犬協会がこの数値を恣意的に操作することは不可能で、このデータには信ぴょう性があると思われます。
若干とはいえ、家庭犬よりも盲導犬の平均寿命の方が長い原因として、次のようなことが言われています。
・そもそも生まれつき健康状態に問題がある子は盲導犬になれないこと
・パピーのころから健康管理を徹底的にしていること
・大好きなお仕事を楽しみながらして、たくさん褒めてもらえること
いかがでしょうか?
ちょっぴり安心しましたね~♪
お話してきたように、使役犬はみんな 人間のために辛いお仕事をイヤイヤさせられているというワケではなく、むしろとっても充実した犬生を過ごしている子が多いんです。
とはいえ・・・・
最初から何度もお話している通り、使役犬はみんな幸せかというと、もちろんそうとも限りません。
次回は、使役犬に関する課題や問題点についてのお話をさせていただきたい思います。
<今日のPet Hotel 11!>
警戒心の強いMちゃん、初めてのお泊り♪ |
最初はお庭のベンチの下にもぐりこんでいたけど・・・ |
Pちゃんとナツに誘われて・・・ |
ホラ、みんなとご挨拶できたよー(^▽^)/ |
Mちゃんと同い年のEちゃんも初めてのお泊り♪ 来た次の瞬間からはしゃいで遊びまくり(笑) |
Eちゃん「あの・・・Yセンパイ、背中のソレ、何ですか~?」 Yくん「ああコレ?取っ手だよ取っ手、しかも北欧製だ」 オオオオオーーーーッ!!(どよめき) |
Eちゃん「センパイすごいなぁ~~・・・ゴクゴク」 Yくん「Eちゃん、早くしてくれない?・・・汗」 |
見学にやってきたPくん(7カ月)と、とっても上手に 遊んであげるGちゃん(11歳) さっすがぁ~~~~! |
今日もやっぱり暑すぎるからプールプール♪ |
大きさはぜんぜん違うけど、とっても仲良しなふたり |
Pちゃん「海 気に入ったーーー!また来るねー」 うん、また遊びにおいで、待ってるよ(^▽^)/ |
優しくておりこうなGちゃん 「また来月くるわね~~」 うん、楽しみにしてるよ~~(^▽^)/ |
遊び疲れてお昼寝・・・ ボス「うーんうーん、チャコ、重たいよぅ~」 チャコ「・・・ZZZ」 |