このブログでも、何度かパピーミルについて書いてきました。
パピーミル(子犬工場)というのは、悪質なブリーダーによって、狭く不潔なケージに閉じこめられた母犬が、体力の限界まで子犬を産むマシンのように取り扱われる、非人道的な飼育環境のことをいいます。
【救われた117の命】
●予想外の発見
先月初旬(2017年9月)テキサス州ハント郡保安官事務所の幹部が、近隣住民からの苦情を受けて、ある民家を訪問しました。
苦情の内容は、児童保護に関するものでした。
ところが保安官たちは、その建物の近くまで来たとき、強烈な臭いに気づいたのです。
それは、糞や尿から発するきついアンモニア臭で、吐き気をもよおすほどでした。
保安官たちが気づいたのは悪臭だけではありません。
通りには、犬の鳴き声や吠える声が聞こえていたのです。
そこで保安官たちは、母屋とは別棟の金属製の建物を調査してみることにしました。
その金属製の建物から複数の犬たちの声がしていたからです。
●犬たちが危ない!!
建物の所有者は、保安官が建物に調査に入ることを拒否しました。
所有者は犬のブリーダー業者として認められていましたから、多数の犬を飼育していることで咎められることはありません。
にもかかわらず、彼は保安官の立ち入りを拒んだというのです。
仕方なく一旦は引き上げた保安官たちでしたが、ブリーダーの対応などから、中にいる動物たちの身が危ないと感じていました。
そこで、管轄の裁判所に報告書を提出し、捜索令状を入手した上で、数日後に再びブリーダーの家を訪れたのです。
保安官たちは、今回はテキサス州のSPCAチームを伴っていました。
※ SPCA=Society for the Prevention of Cruelty to Animals(動物虐待防止協会)
●保安官たちが見たものは・・・
金属製の建物のドアを開けた保安官たちは息をのみました。
そこには、成犬93匹、子犬22匹、猫2匹が、狭く汚い檻の中に閉じこめられていたからです!
発見されなければ、 この子たちは一生ここから出られなかったでしょう |
テキサス州SPCAの副所長 Maura Davies氏は、インタビューに応じて次のように証言しています。
『中には、3匹以上の犬たちがひとつの檻に詰め込まれているものもありました』
『このような小さな檻に押し込められている状況が、犬たちにとっていい環境であるはずがありません』
●調査を中断するほどの劣悪環境
その建物には窓がなく、エアコンもありませんでした。
金属製の建物でエアコンなし・・・当然、建物内には熱がこもって大変な暑さです。
更に、換気もできないために悪臭が充満するわけです。
窓のない金属製の建物の実態は悪質なパピーミル |
『中はとてつもない暑さでした。
そして強烈なアンモニア臭もたちこめていましたから、保安官たちは時々屋外に出なくてはいられないほどでした』(Davies氏)
『実際、ひとりの女性捜査員が、手で口を塞ぎながら外に出て、金属製の建物を指し示しながらオエーッという表情をしている写真もありますよ』(Davies氏)
建物内には一応扇風機はありましたが、ほとんど機能していない状態でした。
『ファンには動物の毛や何かの残骸のようなものがビッシリと付着していて、扇風機としての役割を果たしているとはとても思えませんでした』(Davies氏)
回ったって風が動きそうもない扇風機 |
『この地域で、このような環境に置かれていた犬たちは、まさに想像を絶する酷暑にさらされていたに違いありません』(Davies氏)
しあわせになれますように・・・ |
●救出された犬たちは・・・
レスキューチームは、犬と猫をできる限りすみやかに戸外に出してやりました。
それから、空調の効いた救助車に乗せて、清潔で快適な犬舎に入れてやりました。
Davies氏によると、その時、犬たちは一様に安堵し、ホっとため息をついたように見えたといいます。
『私は16年間テキサス州のSPCAにいます。
その長い経験の中で気づいたことがあります。
救出される動物たちは、助け出されると、ある時点で静かになり、そして少しリラックスしてホっとため息をつくんですよ。
それが感謝からくるため息なのか、疲労からくるため息なのかは解りません。
けれども、彼らが劣悪な環境から救い出されて、ようやく清潔なリネンが敷かれた居心地のいいベッドの上で体を丸めるとき・・・動物たちはとても幸せそうに見えることだけは確かです』
パピーミルから117匹の犬と猫を全員救出したチームは、彼らをケア施設に移送しました。
『今、彼らは必要とするすべての医療ケアと行動ケアを受けていますし、ボランティアの人たちからたくさんの愛情を注いでもらって、手厚く面倒をみてもらっています。
彼らは、エアコン付きの建物の中で、十分な広さのある犬舎を与えられ、清潔で快適なベッドで、とてもくつろいで過ごしています。
わたしたちの施設には庭もあるので、彼らは外に出て草の中を走り回ることもできるんですよ』(Davies氏)
『月曜日に聴聞会が開かれます。
そこで認められれば、わたしたちは正式に今回保護した犬と猫の新しい家族を見つけるために動き出すことができます。
わたしたちのスタッフは、誰もがすべての動物を抱きしめることができます。
ですから、聴聞会の結果を待つ間、わたしたちは保護された犬や猫を精一杯抱きしめてやります。
そうすることで、彼らが幸せや心地よさを感じられるように。
そして、彼らが必要とするものはすべて手に入れられるのだと実感できるように』(Davies氏)
『わたしたちが、このような事件について知る唯一の方法は、近隣の人たちからの通報です。
今回わたしたちを直接呼んだのは行政機関でした。
けれども、もしあなたの周りでこういったことを見かけたら、どうかわたしたちに教えてください』
Davies氏は取材の最後にそう付け加えていました。
(the dodoより)
●現在は・・・
救出された117匹の犬と猫は、Davies氏のお話に出ていた聴聞会を経て、無事、正式にSPCAで保護されることになったそうです。
SPCAで適切な去勢・避妊手術をした後、新しい家族を探していくそうです。
(SPCA of Texas の face bookより)
いい家族に巡り合って、幸せな犬生を送れることを願ってやみません。
そして、今回のようにたまたま通報によって救われた命がある一方で、まだまだ発見されずに悪質ブリーダーの虐待を受け続けているワンちゃんたちがいるのだろうと考えると・・・胸が締め付けられる想いです。
人間はみな、生まれた時は無垢な赤ちゃんだったはずなのに・・・どうしてこのような悪魔の所業をしてしまうようになるのでしょう。
<今日のPet Hotel 11!>
美月ちゃんは、遊んでほしいとお気に入りのおもちゃを 咥えて持ってきます。 |
他のワンちゃんをぎこちなく遊びに誘ってみる(笑) |
オカリナじゃないよ。メデタだよ! わかったからメデタちゃん わたしのパーカーのひもを齧るの やめてよね~(笑) |
また来たよ!カブくんだよ! まだちょっと緊張気味かなぁ・・・がんばろーね! |
お料理番がレーズンとナッツたっぷりのパンを 焼いてくれました~~♪(すごく美味しいぞ) |
プレーンの方は、ワンちゃんたちにもちょっとだけ 分けてあげるからね~~(^▽^) |