2017年10月28日土曜日

韓国で起きた咬傷事故を受けて③

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。



韓国のアイドルグループ”SUPER JUNIOR”のメンバー、チェ・シウォン氏のご家族が飼っているフレンチ・ブルドッグが起こした咬傷事故が、様々な波紋を呼んでいる件について、感じたことを書いています。

この事件について韓国国内で、

『そんな危険な犬は安楽死させるべきだ』

という論争にまで発展していることに対して、日本のネット上で


『安楽死という極論まで出るのは、そもそも韓国人の犬に対する考え方がドライだからだ。

韓国人は犬を食べる民族だし、仁川空港(インチョン空港)での犬射殺事件を見てもそれが解る』

というような見解を示している人がいるけれど、わたしは、

それはちょっと違うんじゃあないか・・・

と感じているというお話です。

【韓国の犬事情(つづき)】

●仁川空港における犬射殺事件とは


昨年(2016年)12月に起きた事件です。

仁川空港でバンコク行きの飛行機に搭乗予定のタイ人が預けた愛犬が、ケージを抜け出して駐機場を走りまわりました。

犬を預かった職員が、ケージのカギをかけ忘れたことが原因でした。

職員はなんとか犬を捕獲しようと試みましたが捕まえることができず・・・

滑走路に侵入すれば飛行機の離発着に支障をきたすと判断した空港職員によって、その子は射殺されてしまいました。

(仁川空港では、実は2013年にも同様の事件があったとのお話もありますが、真偽のほどは確認できませんでした)

空港側は、

「必死に捕まえようとしたが、犬が滑走路の近くまで接近し、事故の恐れがあると判断したため、現場に駆けつけた野生鳥獣管理チームが空港のマニュアルに従って射殺した」

と言っていますが、そもそも空港職員のミスで逃げ出してしまったワンちゃんを、いくら規定だとはいえ、無慈悲にも射殺してしまったことに対して世界中から非難の声が数多く上がりました。

わたしも、

『そりゃーないだろう!酷すぎるっ!!』

と憤りを感じました。

犬が滑走路に侵入すれば、射殺しなくてはならないくらい大変な事態を招くことが判っているのなら、逃走防止策を徹底しなさいよ!!

ってことですね・・・

飼い主さんもワンちゃんも、あまりにも可哀相です( ノД`)


【決めつけは何も生まない】


●羽田空港プードル脱走事件


仁川空港の事件に対して、つい先日 羽田空港で同様に係員がケージに網をかけ忘れたことが原因で逃げ出してしまったスタンダード・プードルを、40分後に無事捕獲したという話題がニュースになりましたね。

犬好きとしては、どうしてもこれら2つのニュースを比較して、韓国は犬に冷たい!と言いたくなってしまうのかもしれません。

けれども、物事を冷静に見てみると、必ずしもそうでないことが判ります。


●ニュージーランドで・・・


この事件は、わたしのブログでもご紹介しました。

【ワンコを射殺してまで守りたかったものとは?】

やはり空港での出来事でした。

麻薬探知犬の訓練生ワンちゃんが逃げ出し、駐機場を走り回って捕獲できなかったため、最後は警察によって射殺されてしまいました( ノД`)


●ドイツで・・・


日本人にとっては、犬に優しい国の代表格のようなドイツで、今年(2017年)7月に起きた事件です。

買ったばかりの愛犬を車に乗せてドライブしていた飼い主が、トイレ休憩していたところ、リードに繋いでいなかったワンちゃんが逃走し、高速道路上を走り回りました。

捕獲を試みましたが捕まらず、あたりが暗くなってきたために、安全を考慮した警察によって射殺されてしまいました( ノД`)


●アメリカで・・・


今年(2017年)7月、ミネアポリスで起きた事件です。

ある民家の警報アラームが鳴り、要請を受けた警官が敷地内に侵入したところ、庭に2匹のピットブルがいました。

2匹のピットブルは、その家の情緒不安定な長男のために感情支援動物として飼われていました。

防犯ビデオの映像では、ワンちゃんたちは庭に侵入した警官に対してシッポを振っていて、襲い掛かる風情もなくその場に立っていたところを警官に拳銃で撃たれました。

2匹とも・・・

その後、警官は塀をよじ登って逃げていきました。

『身の危険を感じたので撃った』

だそーですヽ(`Д´)ノ

一部始終が防犯ビデオの映像として残っています。

撃たれたワンちゃんたちは、奇跡的に命を取り留めましたが、長期にわたる手術を必要とする重症だそうです。


●悲劇を無駄にしないで・・・


なんだかイヤなお話ばかりになってしまい、泣きそうな気持ですが・・・

どれも、人間の 管理不行き届き や 早とちり といった冷静さや注意力を欠いた行動が原因となって、ワンちゃんたちが酷い目に遭ってしまったという事件です。

韓国だから、日本だから、ドイツだから・・・といったこととは性質が違うんです。

『この国は犬に優しい国だから国民全員が犬好き』

ということもなければ

『この国は犬に冷たいから国民全員犬嫌い』

なんてことは、あるはずがありません。


日本でも先日、チワワを劣悪な環境のごみ屋敷で多頭飼育し、繁殖させては無資格で販売していた男が逮捕されましたね。

そのニュースが韓国で流れたとして、それを見た韓国の方が

『日本人って最悪だな!犬を虐待するひどい国民性だ!』

なんて言ったら

『チョーイチョイチョイ待った~~!!レッテル貼りはやめてよね~』

って思いますよね?

大事なことは、こういった事件を知った時に、批判や中傷をして終わってしまうのではなく、自分にも起こり得ることだという自覚を持つことではないでしょうか?

飼い主さん、犬を預かる可能性のある施設職員、警官などなど・・・

犬に関わる人みんなが、こういった痛ましい事件を反面教師にして、二度とこんなことが起きないように気を付けることではないでしょうか。


自分の対応やオペレーションは大丈夫だろうか?

脱走防止対策は万全だろうか?

安全確認をルーティンにしてしまい、ないがしろにはしていないだろうか?

ケージや鍵、リードやチョーカーは劣化していないだろうか?


といったことを再確認したり、


もし自分が同じようなシチュエーションに遭遇した当事者だったら、どういう行動を取るべきだろうか?


ということをシュミレーションしたり・・・


愛犬家のわたしたちがすべきなのは、そういうことなのだと思っています。

なぜならば、それが、わたしたちがこのような事件によって命を落としたり大怪我をしたワンちゃんたちにしてあげられる唯一の償いだと感じるからです。

非難や中傷は、摩擦や憎しみを助長してしまうだけで、な~んの役にも立ちゃーしません。


最近、やたらと危機感を煽ったり、争いを助長するような、エラい人たちの発言によって、きな臭い殺伐とした空気が蔓延しているように感じます。

どの国の人でも、どの民族でも、どんな宗教でも、どんな星座でも血液型でも干支でも・・・・

『あいつら』だとか『こんな人たち』だとか

ひとくくりにするのは、とってもキケンだと、わたし個人は感じていて、今の空気をとても危惧しています。



犬に咬まれて亡くなった女性の死も、人間によって殺された犬たちの死も、無駄にしないようにしたいものですね・・・


それこそ、戦争などが起きてしまっては、人も犬も多くの命が失われるのですから・・・




<今日のPet Hotel 11!>

MAXくん
「今日は雨ふりだからお庭で遊べないんですね~」
そうなのよ。イイコねぇ~~

なつ
「早くお庭で虫さんと遊びたいんだけどっ?!」
雨コンコンだから無理だよぅ~(-_-;)

ボス
「どーしてお庭でボールできないの?」
だから雨コンコンだから無理なんだってばぁ(-_-;)