愛情深く、涙もろく、心優しい人です。
ですから、母は自他共に認める、正真正銘の愛犬家です。
ただ、さんざん書いてきたように、愛犬家が必ずしも飼い犬の良きリーダーだとは限りません。
母は、ボスのことを心から愛していましたし、ボスに対するほぼすべての行動はボスを思ってしていたことですが、そのやり方は残念ながらボスにとってのよきリーダーの振る舞いではありませんでした。
もっと厳しい言い方をすれば、「ボスを愛している自分」が「ボスにしたいこと」をしてあげていたということです。
こんな風に、ろくにしつけをしていないにも拘らず、ボスは問題行動と呼ばれることが多いわりに、さほど手に負えない犬ではありませんでしたし、母に反抗的に歯向かっていくようなこともありませんでした。
それは間違いなく、母のボスに対する愛情がボスに十分に伝わっていたからだと思います。
『問題行動について』というシリーズを書き始めたころに
一般的に問題行動とされていることでも、飼い主さんや周囲の人に迷惑をかけていないなら問題ない。
と書きました。
母と暮らしていた時のボスは、まさにそういう関係でした。
客観的に見れば、間違いなく問題行動だらけの犬でしたが、母はそんなボスが愛おしくてたまらず、さほど困ってもいなかったのです。
ところが・・・状況は変わりました。
母は今年79才になります。
高血圧・脳梗塞・腰痛・膝痛など、挙げればきりがないほど体の不調があります。
特に3年前に長年連れ添った夫(私の父)を長い看病の末亡くしてからは、心に大きな穴がポッカリと空いてしまったようになりました。
何をするにも気力と体力が追い付かないと言い、昔を知っている私から見ると信じられないくらいにネガティブになっています。
ボスは今までとまったく変わらぬ状態でも、ボスの行動が、日々ジャブのように母の心身を疲れさせるようになっていきました。
「あの子たちがいると、何にもできないのよ。ひっきりなしに鳴いて要求するし、ずっとくっついてきて遊びをねだるし・・・タメイキ」
そんなことを言うようになりました。
犬たちのストレスを発散するための十分なお散歩もなかなかできなくなり、ボール遊びでお茶を濁す悪循環もあり、いよいよ問題にならなかった問題行動が問題になってきたのです!!
ちょうど私たちがペットホテルの立ち上げ準備をしていたため、設備の検証にボスとなつを暫く預からせてもらうことになり、母の希望もあって、そのまま超長期のお預かりとなったわけです。
今では母は、最愛の孫に会いに来るかのようにボスとなつに会いにくるのを楽しみにしています。
大事なことなので何度も書きますが、
一般的に問題行動とされていることでも、飼い主さんや周囲の人に迷惑をかけていないなら問題ない。
それは間違いありません。
だけど、状況は変わる可能性があります。
老い・事故・怪我・入院など・・・予測のたたないことがいつ自分の身に起きるかもしれません。
そのためにも、自分の飼い犬の問題行動については、正しく把握して、必要になれば軌道修正できる程度かどうかを見極めておくことが大切ではないかと私は思います。
お外遊びの後、おとなしく足を洗わせてくれるココちゃん♪
かぁわいい~(はぁと)