2017年1月17日火曜日

問題行動について⑥

我が母が、問題行動の見本市のように育ててしまった
ボール大好き犬”ボス”を例にとって、犬の問題行動について書いています。

実家の階段を降りることができなくなってしまったボスの行動。
これは〈恐怖症〉という状態です。
恐怖症を強化してしまうのは、不適切なタイミング_つまり、階段を降りることができず怯えている状態の時に優しい口調で話しかけ(←ご褒美になります)、抱っこする(←ご褒美です)ことで、怯えていることを肯定してしまう行為でした。

怯える必要のないものに怯えている犬に対しては、飼い主自身が悠然とした余裕の態度で見守り、克服まで根気強く付き合ってあげるのが正しい対処の仕方です。
決して赤ちゃんのように甘やかしたり、一緒になってオロオロしたり、神経質に叱ったりといった感情的な態度に出てはいけません。
人間の子供だって、母親が虫を怖がれば同じように怖がりますよね?
虫が怖いんじゃあなくて、母親が不安定なメンタルになるのを感じ取って不安になっているからです。
「怖くないよ。大丈夫」
という気持ちで気長に克服に付き合い、克服できた時には精一杯褒めてあげてください。


ここで今一度、ボスの問題行動を振り返ってみます。

●極度に臆病(よその人も犬も怖い)
●もう6歳のオッサンになろうというのにうれション癖がある
●ボールに対する異常な執着(正気の沙汰ではないほどの・・・)
●興奮すると制御できない(グルグルピョンピョンうれションジョロロ~~)
●「遊んで!」「ボール取って!」「寂しいからこっち来て!」などの要求吠えが執拗に続く
●実家の階段をひとりで降りることができない

でした。

中でも特徴といえるのが、ボールに対する異常な執着です。
私がいつもこのブログの中で、彼を”ボール大好き犬”と呼んでいるのはそういうことです。

犬がボールを好きなのは問題ありません。
人がお酒を好きなのも問題ありません。

でも!

犬がボールに異常に執着するのは中毒です。
人がお酒に異常に執着するのがアル中なのと同じなのです。

中毒かそうでないかの境目は、その対象に関して制御ができるか否かということにあります。
ボスは制御がまったくきかないほどのボール中毒に罹患しています。

具体的に言うと・・・

ボールを持たせると、それはもうひっきりなしに「投げて取ってこい!」の遊びをせがみ続けます。
落ちているボールを見つけよう物なら、車や側溝も目に入らぬ状態となり、猛然と追いかけます。
その拾ったボールを取り上げようとしようものなら、本気で噛み付かんばかりにうなり声をあげます。
ボールを高いところに隠すと、取ってやるまでずーーっとその下で声がかれるまで吠え続けます。
一人でボール遊びをしている時は、タンスの下などにボールを突っ込み、これまた取ってくれと執拗に吠え続けます。

こうなるともう「ボールが好きなのね!かぁわいい~♪」っちゅうレベルを超えちゃってますね。

人の依存症や中毒と同様、犬だって特定のものに取り憑かれた状態は、精神的に健全でないのはおわかりでしょう。

ボスがこのような状態になった原因はいくつか考えられます。

①飼い始めて間もなく、母はボール遊びをたいそう喜んだボスを見て、これまたたいそう喜びました。
嬉しそうにボールを追いかけるボスが可愛くてたまらず、せがまれれば家事の手を止めてでも付き合ってやりました。

②雨や、忙しくてお散歩に行けない時などは、特に室内でボール遊びをたっぷりしてやりました。

③ボスがとても好きな、ボールの引っ張りっこもたくさんしてあげました。

④ボスは、あまりにボール好きで、ボールをいつでもかじっているので、ゴルフボールですらボロボロにしてしまいます。ですから母は、常にボールが家から絶えないように次から次へとたくさんの種類のボールを買って与えました。

⑤母がどうしても手が離せないような時、ボスがボールを執拗にせがんで吠え続けたとします。
そんな時、母は優しく「ボス~ ちょーっと待ってねぇ~♪おりこうねぇ~」と声掛けしながら作業を続けますが、それでも鳴き声が止まないので、だんだん落ち着かない様子になり、次第に鳴き声にイライラし始め、最終的には「んもーっ!わかったわかった。じゃあちょっとだけよ」と、ボールを取ってやりに行きます。そして必ず「まったくボスには困ったもんだわ」とボヤきます。


私に言わせれば、ボスがボール中毒犬になってしまったのは無理もないことです。
「んもーっ!」じゃないよ「んもーっ!」じゃ!
困ったもんなのは母のほうだわ!と私はボヤきます。


長くなったので続きはまた・・・


↑ボール中毒犬”ボス”