2017年1月18日水曜日

問題行動について⑦


つづきです。

ボール中毒犬”ボス”を作り出した母の行動について、ひとつひとつ説明申し上げましょう。

※赤字アンダーライン部分が不適切な対応です。
※青字部分はそれを受けたボスの気持ちです。
※紫字イタリック部分はアル中に陥りやすいオジサンです(←はぁ?)


  1. 飼い始めて間もなく、母はボール遊びをたいそう喜んだボスを見て、これまたたいそう喜びました。
    嬉しそうにボールを追いかけるボスが可愛くてたまらず、せがまれれば家事の手を止めてでも付き合ってやりました。

    「ねえママぁ~、退屈だよぅ。ボールで遊んでよぅ」



    おお、吠えたら遊んでくれるんだな?!(ピカーーンッ♪)



    「おーいママ、早く遊んでったらー!こんなに吠えてるのにまったく使えないヤツだなぁ」



    「オイっ!いつまで待たせるんだっ?!早く遊べやゴラぁっ!!」


    ボール遊びをしてあげることは運動にもなりますし、むしろいいことです。
    けれども、せがまれて付き合うということを繰り返すことは、犬に主導権を握らせていることになります。
    最初は「おねだり」だったかもしれませんが、回を重ねるごとに「命令」へと変化していっているのに、母と同じように多くの飼い主さんが気づいていません。
    遊びを始める時も終える時も、主導権は常に飼い主さんが握っているようにしなくてはならないのです。
  2. 雨や、忙しくてお散歩に行けない時などは、特に室内でボール遊びをたっぷりしてやりました

    「お散歩に行きたいよぅ(イライラ)」
    「お、ボール遊びか。仕方ない。ボールで憂さ晴らしするか!」

    「何もかもうまくいかないよぅ(イライラ)」
    「お、酒か。仕方ない。パァーッと飲んで憂さ晴らしするか!」


    以前、【お散歩は必要ですか?】の記事にも書きましたが、ボール遊びはお散歩の代わりにはなりません。忙しくても、ボール遊びをする時間が取れるのなら、短くてもいいからお散歩を優先すべきです。
    犬は、遊んでもらえないことよりもお散歩に行けないことの方がよほど精神的に不安定になり、ストレスとなります。
    どうしてもお散歩できない時、鬱積したストレスのはけ口としてボール遊びを代替することにより、犬がボール遊びに依存しやすい傾向を作り上げてしまいます。
    それでも、どうしてもお散歩に連れて行けない時は、我慢することも学ばせます。
    ただし、行ける状態になったらすぐに長めのお散歩に連れ出してあげることが大事です。
  3. ボスがとても好きな、ボールの引っ張りっこもたくさんしてあげました。

    「ガルルルルル ガルルルルル・・・」←野生化している

    ボールやおもちゃなどを犬と引っ張りっこをするのは、たとえ犬がやりたがっていてもおすすめできません。
    引っ張りっこは捕食という野生の本能と直結するので、犬は夢中になり、大変興奮しやすくなります。
    引っ張りっこをしていて唸るようになったら危険信号です。
    人と同居してご飯を与えられている犬が捕食の本能を刺激されて興奮することは必要ないばかりか、攻撃性を誘発することにもつながりかねません。
    攻撃的な中毒犬だなんて、シャレにならないじゃあありませんか!

  4. ボスは、あまりにボール好きで、ボールをいつでもかじっているので、ゴルフボールですらボロボロにしてしまいます。ですから母は、常にボールが家から絶えないように次から次へとたくさんの種類のボールを買って与えました。
    (ボスのいる部屋には、常に箱いっぱいのおもちゃやボールがありました)

    「お?また子分がボクのボールを買ってきて貢いで行ったな。ヨシヨシ。いい心がけだ」

    犬が望むおもちゃを与えすぎることも、犬の好きな時間におもちゃで遊べる状態にしておくのもやってはいけないことです。
    遊んでほしい。お散歩に行きたい。でも忙しそうで構ってもらえない・・・そんな時の拠りどころがおもちゃになることで、依存(執着)が強まってしまいます。
    更に、好きな時におもちゃで遊べるということは、おもちゃは犬の物ってことになりますね。
    ちがいます。おもちゃは飼い主のものでなくてはなりません。

    ①でも解説しましたが、遊びを始める時間は飼い主が決めます。
    どうしても一緒に遊べないけれどおもちゃで遊ばせてあげたい時は、必ず飼い主がおもちゃを渡してあげて、ある程度の時間を区切って、最後はそのおもちゃを取り上げて片付けてしまいます。そうすることで主導権は飼い主にあり、おもちゃは飼い主のものだということを理解させることができます。
  5. 母がどうしても手が離せないような時、ボスがボールを執拗にせがんで吠え続けたとします。
    そんな時、母は優しく「ボス~ ちょーっと待ってねぇ~♪おりこうねぇ~」と声掛けしながら作業を続けますが、それでも鳴き声が止まないので、だんだん落ち着かない様子になり、次第に鳴き声にイライラし始め、最終的には「んもーっ!わかったわかった。じゃあちょっとだけよ」と、ボールを取ってやりに行きます。そして必ず「まったくボスには困ったもんだわ」とボヤきます。

    「え?もっと吠えてほしいの?仕方ないなぁワンワン!}
    「おいっ!いい加減にしろよっ!どんだけ吠えさせるんだ?!早くしろよっ!」
    「うーん・・・こんなにしつこく吠えないと来ないのかぁ・・・じゃあ次はもっとしつこく吠えよう」

    まず大前提として、犬が望ましくない行動をしている時にご褒美を与えてしまうことはNGです。
    優しい声で名前を呼ばれ、話しかけてもらえること ←ご褒美になります。
    その上、さんざん吠えさせてしまった後で、吠えている状態で要望に応えてしまうことは、最悪のタイミングで最高のご褒美を与えていることになります。
    しつこく吠えたてると望みが叶うという方程式が刷り込まれることで、声を枯らすまで狂ったように泣き続けるようになる犬も珍しくありません。
    それは飼い主、ご近所、なにより犬自身にとって不幸以外のなにものでもありません。



    長くなったので続きはまた・・・