2018年7月24日火曜日

使役犬の問題点(補助犬の使用者について)

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。





前回ブログでは、猟犬という使役犬に関する深刻な問題点についてお話しました。

今日は、盲導犬や聴導犬、介助犬といった”補助犬”についての問題点を考えてみたいと思いますが、中でも最もポピュラーな盲導犬の事例で考えていくことにします。


【使用者の資質が問われる盲導犬】


●問題点の整理


「盲導犬など、虐待に近い行為だから無くした方がいい」

と主張している人たちが問題視していることは、おおむね以下の通りです。


①短い一生の間に最低5回も飼い主が代わるのが可哀想

繁殖屋 → パピーウォーカー → 訓練所 → 使用者 → 引退後の飼い主


②訓練が過酷で可哀想

排泄を、使用者からの指示がある時以外は我慢する訓練や、吠えない走らないという訓練は犬の本質に逆らっているので可哀想。

また、走行中の車の前に犬を引き出して急ブレーキをかけて車の怖さを教える訓練など、虐待行為に近い手荒な訓練だ。


③老犬になるまで働かせている団体もある

引退の時期は各団体によって異なるが、大体10才で引退としている場合が多い。

ところが、10才を超えても働かせている団体もあり、老犬虐待にあたるのではないか?


④重労働

重たいハーネスをつけさせられ、労働時間の制限もなく働かされ、犬らしく自由に走ったり吠えたり遊んだりすることを制限されているのが可哀想。


⑤使用者の中には盲導犬を虐待している人がいる

盲導犬の実質の飼い主である使用者が、盲導犬に暴力を振るったり、排泄をあまりさせないようにとゴハンや水を制限したり、何日もお散歩に連れて行かなかったりといった明らかな虐待をしているケースがある。


⑥視覚障碍者のサポートに犬ではなく人を使うべき

犬の自由を奪って人間のためにこき使うのではなく、人間がサポートにつくべきだ。



●個人的な考え


上記で提起されている問題点について、個人的にわたし自身も賛成だと感じているのは⑤です。

それ以外については、大きな問題は感じていません。


①については、そういう考え方で言うなら、ペットショップで購入してきた子は

繁殖屋 → ペットショップ → 飼い主

という風に3回飼い主が代わっていることになりますね。

保護犬として新しい飼い主さんに引き取られた子などは、

繁殖屋 → ペットショップ → 飼い主 → 保護団体 → 新しい飼い主

と、5回飼い主が代わっていることになりますが、とても幸せそうな子はたくさんいます。


ずっと同じ飼い主さんの元にいる方が「落ち着いて過ごせる」のは確かでしょうし、それが理想なのかもしれません。

けれども、狼の群においても、リーダー(アルファ)の交代はありますし、個人的にはワンちゃんにとって、飼い主さんが代わるということ自体は、実はそう大きなストレスではないように感じています。

Pet Hotel 11!にやってくるワンちゃんたちを日々見ていて感じるのは、そのたぐいまれなる柔軟性の高さです。

彼らには間違いなく豊かな感情がありますが、彼らにとっての最優先事項は「今、幸せか?」ということです。

今現在、安心して過ごせる環境にいて、頼れるリーダーさんがいれば、ワンちゃんたちはすぐさま幸せだと感じることができ、過去をクヨクヨ振り返ったりはしません。

ですから、数回飼い主さん(ハンドラー)が代わったとしても、どの人もみな愛情いっぱいにワンちゃんに接してくれていれば、その都度ワンちゃんは幸せに暮らしていけると思っています。

ただ、数回飼い主さんが代わる中で、ワンちゃんに対して酷い仕打ちを日常的にするような人が1人でもいれば、それはトラウマになってワンちゃんに深い傷を負わせることになるでしょう。

現在、超長期お預かり犬としてPet Hotel 11!にいる黒色チワックスのナツは、

繁殖屋 → ペットショップ → 元飼い主さん → 現飼い主(母) → Pet Hotel 11!

という感じでちょうど5回、リーダーが代わっているわけですが、彼女はとても犬生を謳歌しているように見えますし、たまに元飼い主さんが遊びに来てくださると、それはそれはとっても嬉しそうにしています。

どの時点においても、ずーーっと人間に可愛がられてきたナツは、人間が大好きで、お散歩中に出会う人にも必ずシッポを振って甘えに行きます。



そういう理由で、「今を生きている」ワンちゃんにとって、ハンドラーが5回代わることに関しては、わたし個人は大きな問題とは感じていません。



②③④については、以前の記事でも書いた通り、訓練が辛くてイヤだったり、年を取ったことによってお仕事が苦痛になっている子は、そもそも盲導犬として適切なお仕事をすることができませんから、訓練の過程で「不適格」と判断されるか、年齢に関係なく引退となるかのいずれかです。

そのため盲導犬になれる子は、人間との共同作業が大好きで、訓練を楽しくて仕方ない遊びと捉えている子ですし、年齢を重ねてもよい働きができる子もやはり、まだまだ自分のお仕事を楽しんでいる子だと思います。

また、走行している自動車の怖さを教える訓練は、目の見えない人だけでなく盲導犬自身の命を守る、とても重要な訓練だと思っています。

それを行わずに使用者に盲導犬を渡すことの方が、よほど危険な目に遭わせる虐待に準ずる行為だと感じてしまいます。



⑥については、②③④に関して、本犬さんが心から楽しんでやりがいを感じていたとしても同じように思われるのか・・・?ということになりますが、わたしは視覚障碍者の方の立場に立って考えた時に、


「人間のサポートをつければいい」


というのは非常に酷なお話だと感じています。

もしも、自分の目が不自由だったら・・・と想像してみてください。

もちろん、自分の視力を補ってくれる人がサポートしてくれたら、きっと助かりますしありがたいと思うでしょう。

けれども、その人を自宅に寝泊まりさせるのは・・・・ぜったいにイヤですね(-_-;)

現実的には1日数時間来てもらって補助してもらうか、出かける予定のある日にあらかじめ予約して来てもらうかすることになるでしょう。

そうなると、思い立った時に自由に外出したりする権利はなくなりますね。

何よりも、他人に頼らなくてはならない状態は、プライバシーや自由という観点で、ずいぶん窮屈なことではないでしょうか・・・


ですからわたしは、視覚障碍者の方にとって、人間の補助者では盲導犬の代わりは到底勤まらないと思っています。


一方で、盲導犬がまったく不要なくらい素晴らしい補助器具・・・例えば高性能センサー付きの杖とか、盲導犬ロボットのようなものが開発されることについては、大変素晴らしいことだと思っています。



●使用者の資質については問題大アリ


問題は⑤に関して・・・

ほぼすべての団体で、盲導犬の使用者の資質を審査し、実際の使用に際しては合宿形式で接し方や動物愛護の教育、日々のお世話の注意点などの研修を行っていますし、必要に応じて抜き打ちでの査察なども行っているようですが、残念ながら盲導犬を単なる言いなりになる都合の良い道具のように考えている心無い使用者もいることは確かです。

盲導犬に限らず、使役犬はみな、人間のために働かされているという意識はなく、大好きな飼い主さんのためにお仕事をするのが大好きで、それによって褒めてもらったり可愛がってもらうことにこの上ない喜びに感じて生甲斐にしている子たちだと、わたしは思っています。

でも・・・

その素晴らしい働きぶりや献身的な姿は、わたしたちの目から見て「けなげ」以外のなにものでもありませんね。

そんなけなげな子たちを不当に扱う使用者がいれば、その者は盲導犬使用者としての資質がない者として、すぐにでも盲導犬を没収しなくてはなりません。


「身体が不自由な人=みんないい人」


という考えは間違っていますし、その根拠のないイメージはある種の差別だと思っています。

身体が不自由な人にだって、健常者と同じように、いい人もいれば困った人もいるということです。

同様に、

一般家庭の犬も、盲導犬も等しく、飼い主や使用者が不適格者であれば虐待と呼ぶべき状況に置かれているのです。


盲導犬に関しては、目立つ存在でもありますし、ご近所など世間の目や盲導犬団体による監視の目が、一般家庭のペットよりも行き届くはずなのですから、不適格な使用者がいれば、迷わず一旦 盲導犬をその人から引き離すという措置をとっていただきたいと思っています。

現状は、「疑わしき場合は様子を見る」という措置が取られているように思いますが、弱い立場にいる盲導犬を優先して、「疑わしき場合はまず引き離す」を徹底して欲しいと切に願っています。




<今日のPet Hotel 11!>

Mくんが失礼なのではありません。
チャコがMくんの下をくぐってYくんの所へ
行っているんです・・・(-_-;)

犬見知りの激しいMくんは、初めて会うL兄弟に
超~キンチョーしています(笑)

L弟「行っちゃったね、兄ちゃん!」
L兄「うん、行っちゃったな、弟!」

L兄弟と別メニューのお散歩では、このイタズラ顔
慣れる前と後で落差が激しすぎ(笑)

「ボールなげて~~~~」
っておねだりして待っているうちに

・・・・グウ・・・って、寝るんかーーい?!