2018年3月4日日曜日

お空に行ったMAXのこと

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。



【ありがとうMAX】


●特別な子


きょうは、昨日の0時過ぎにお空に行ったMAXのお話をさせてください。

MAXはKDP(神奈川ドッグプロテクション)から今の飼い主さんのおうちにやってきた、元保護犬でした。

大きなラブラドールレトリーバーの男の子で、KDPにいたころは「チャタロウ」というお名前でした。

推定年齢は、獣医さんによると12~13才くらいでしょうか・・・


MAXは、Pet Hotel 11!がここ三浦海岸でopenした当初からのお客さまでした。

お客さまといっても、おうちがご近所だったので、おさんぽでも毎日のように顔を合わせていましたし、お泊りもデイユースも何度もしてくれていたので、Pet Hotel 11!のことを第二の我が家のように思ってくれていて、いつも喜んでやってきては、すっかりくつろいでくれていました。

わたしたちにとって、MAXと過ごした日々は特別な思い入れのあるたいせつな日々です。


●痩せこけて傷だらけだったMAX


飼い主さんがMAXをKDPから引き取った当初は、ガリガリに痩せこけていて、体中が傷だらけだったそうです。

気の優しいMAXは、たくさんのワンちゃんたちの中で、もしかするとごはんを他の子に取られてしまっていたのかもしれないと、飼い主さんはおっしゃっていました。

そのせいか、耳が三角の和犬がとても苦手でした。

身体の大きなMAXが和犬に出会って興奮すると大変なので、飼い主さんはお散歩の時に和犬とすれ違わないように気を付けながら歩いていらっしゃいました。

たくさんのつらい思いをしてきたMAXに、できる限り負担をかけたくないという飼い主さんの愛情を理解できたので、わたしたちもMAXをお預かりする時は、同じように和犬に気を付けながらお散歩していました。


●幸せいっぱい


飼い主さんのおうちに引き取られ、すっかり元気になったMAXは、その元気さとパワフルさゆえにそれはそれはお世話が大変だったといいます。

力が強いので、お散歩ではちょっと引っ張られてもよろけてしまいます。

大きな身体で、まるで子犬のようにはしゃぐので、色々なものを破壊してしまったそうです(^-^;

飼い主さんいわく、

「MAXは自分の大きさがわかっていないの」

そのため、他のワンちゃんたちを踏んづけてしまいそうになることがしょっちゅうで、飼い主さんはいつもハラハラしていたようです(笑)

そんなMAXを、飼い主さんは他の2頭のワンちゃんと共に、ドッグランや旅行など、たくさんのところへ連れて行ってあげていました。

だから、MAXは老犬になってもお出かけするのが大好きでした。


愛情いっぱいの飼い主さんに、優しく、時に厳しく育てられて、MAXはこの上なく幸せな日々を過ごしていたことでしょう。


●なんでもしてやりたい!


わたしたちがMAXに出会った時には既に10才を超えていたMAXは、お散歩の後半になると、後ろ脚を少しひきずることがありました。

それが、少しずつ悪くなり、後ろ脚がプルプルと震えてしまうことが多くなってきました。

飼い主さんは、そんなMAXのためにできることはなんでもしてあげていました。

MAXの他に2頭のワンちゃんを飼っている飼い主さんは、MAXのお世話だけをしているわけにはいかないはずでした。

それでも、お仕事をされながら毎日、3頭全員のブラッシングをして、歯磨きをして、元気な子たちとMAXを別々にお散歩に連れて行ったりと、それはそれは感心するほどよく面倒をみていらっしゃいました。

ご自身の体調が悪い時でさえ、3ワンたちのことを一番に考えている・・・そんな飼い主さんでした。

お預かりする際に持参されるごはんは、ワンちゃんそれぞれにその時々の体調に合わせて、手作りスープやヤギミルク、生の馬肉やサプリメントなどをきめ細かく配合しておいでで、本当に頭の下がる思いでした。


●楽しく過ごさせてやりたい!


MAXの後ろ脚にどんどん力が入らなくなってきて、お散歩が難しくなってきました。

一度、お散歩に出た帰り道にMAXがへたり込んでしまって、励ましながらゆっくりゆっくり帰ってきて、おうちに着くころには真っ暗になってしまったこともありました。

獣医さんに詳しく検査をしてもらうと、後ろ脚の骨肉腫だということが判りました。

飼い主さんは、少しでも痛みや苦しみを感じないですむようにと、獣医さんと相談してお薬やパッチを処方してもらっていました。

それからまた、飼い主さんはMAXにピッタリな車イスをオーダーメイドで作ってくれる業者さんを探して、ステキな車イスを作ってあげました。

お散歩・・・とりわけ海を見るのが大好きだったMAXから、その楽しみを奪いたくなかったからです。

調子のいい日は車イスなしでもお散歩できるMAXを、車イスを担いで楽しそうにお散歩させている姿を、近所の人たちは毎日見ていました。

「今日はMAXくん、調子がよかったみたいで、車イスなしで歩いていたよ!」

「MAXくん、少し元気がなかったみたい。大丈夫かなぁ・・・」

この界隈で一番体の大きなMAXは、みんなの人気者だったんです。


●数日前のこと


MAXがお空に旅立つ2日前のことでした。

ボス、なつ、チャコと常連のウリくんを連れておさんぽしていると、同じくお散歩中のMAXに出会いました。

飼い主さんは

「ここ2~3日、この食いしん坊のMAXが食欲がなくて、ごはんもお薬も食べてくれないの・・・」

と心配そうにお話されていました。

ボス、なつ、チャコ、ウリくんは全員、MAXくんとは仲良しなので、いつもなら寄って行って挨拶するのですが、その日に限って誰もMAXくんの方に行かず、ただじっとMAXくんを見つめていました。

「どうしたの?MAXだよ?!」

と促しても挨拶をしようとしない様子をみて、犬たちが何かを感じ取っているのかもしれない・・・どうかそうではありませんように・・・

そんな風に思っていました。


●ウッカリMAX


それから2日経った金曜日のことです。

「今朝、お散歩に出てすぐのところで、MAXがへたりこんでしまって・・・家に連れ帰って寝かせているけど、グッタリしていて目の焦点も合わない感じになっているの!!」

飼い主さんから連絡をいただき、すぐにMAXに会いに行ってきました。

サービス精神旺盛なMAXは、窓際の大すきな陽だまりに横たわっていましたが、わたしが行くと一生懸命に頭をもたげて挨拶してくれました。

しばらく飼い主さんとお話しているうちに、少し元気を取り戻したMAXは、口元にお水を持っていくと半分身体を起こして飲むことができました。

MAX、起き上がれるかな?

と、飼い主さんと一緒に補助ハーネスで起こしてみようとしましたが、MAXはもう後ろ脚だけでなく、前脚も力が入らないようでした。


その夜、既に家を出ているお子さんたちも帰ってきて、ご家族全員でMAXを囲むことができたそうです。

そして、0時過ぎにMAXは息を引き取りました。

苦しむことなく穏やかな最期だったそうです。


翌朝、飼い主さんからの連絡を受けて、MAXに会いに行ってきました。

「会ってやって。今ならまだ温かいから・・・」

と言っていただいたからです。

ちょうど、お預かりしている子がいなかったのでふたり揃って会いに行くことができました。

お気に入りの窓際の陽だまりに横たわるMAXは、普段の寝姿と変わらず、そして触れると本当にお腹がまだ温かくて、とても亡くなっていることが信じられませんでした。


飼い主さんは、「実感がぜんぜんわかないの・・・」と仰いながらずっと涙を流していらっしゃいました。

でも、こんなことをおっしゃっていました。


「私ね、私にそっくりなウッカリMAXは、もしかしたらウッカリ死んじゃったのかなって思ったの。

バカだな、MAX こんなことは私は望んでなかったんだよってMAXに言ったわ。

どれだけMAXが私にとって大切だったか忘れないで

って、耳のピラピラをめくって伝えたけどね、わかってるかどうだか・・・

私の愛すべき四男坊・・・!!」


「こんなことは私は望んでいなかったんだよ」

っていうのは、ちょうど今現在、飼い主さんが色々なことでとっても忙しかったからです。

もしかするとMAXは、それが解っていて、飼い主さんの手を煩わせないようにと、寝たきりになったりせずにお空に行こうと決めたのかもしれない・・・そんな風に感じたんですね。



すごくステキだなと思いました。

悲しみの中でも

「MAXったらウッカリ死んじゃったの?」

なんて思えるなんて!!

ちょっぴりクスリと笑えるようなこの発想は、明るくてお茶目だったMAXには本当にピッタリで、わたしの方が救われた気持ちになりました。

きっと、MAXのために惜しみない愛情を注ぎ、できることは全てやってきた飼い主さんだから、こんな風に言えるのだろうと思いました。



●MAXのこと


MAXは、とっても大きいのに子どもみたいにはしゃぐ、とってもお茶目な子でした。

MAXは、お散歩やお出かけが大好きでした。

MAXは、お庭遊びが大好きで、なかなか小屋に入ろうとしませんでした。

MAXは、おもちゃで遊ぶのが大好きで、よく遊んで遊んで!とせがんでいました。

MAXは、海と砂浜が大好きで、後ろ脚がプルプルしていても海の方に行きたがりました。

MAXは、甘えん坊で仰向けになってお腹を撫でられるのが大好きでした。

MAXは、とっても穏やかで、小さな子に吠えられても困ったような顔をしていました。

MAXは、とっても優しくて、他の子が欲しがるとおもちゃを譲ってあげる子でした。

MAXは、狭いところが大好きで、入りきらないような空間に気づくと小さく丸まって入り込んでいました。

MAXは、自分のおうちに他の子が入ってきても、いつも嫌がらずにそれを受け入れるような子でした。


わたしたちは、そんなMAXが大好きでした。

最後まで、わたしたちを幸せな気持ちにしてくれてありがとう。

お空では、美味しいものをたくさん食べて、海岸を好きなだけ走り回ってね。

また会う日まで・・・



今日のPet Hotel 11!はおやすみします。

代わりに、MAXの思い出動画を観て、一緒にMAXを偲んでください。