前回のブログにつづいて、犬の「擬人化」についてお話していきます。
今回、このテーマを書いていて大変驚いたことがあります。
多くの愛犬家の方が 「犬を『擬人化』しすぎないで」ということに対して「受け入れられない」というような反応を示されることです。
一番多かったリアクションが
「犬は家族なのに!」
というものでした。
わたしも、もちろん愛犬のチャコのことを、みなさんと同じように大切な家族だと思っています。
「犬を擬人化する」ということと、「犬を家族だと思う」ということとはまったく別なことです。
ぜひ、わたしたちとはまったく違う生態や本能、行動様式を持った家族として愛してあげていただきたいと思っています。
お伝えしたい内容が意図した通りに伝わっていないのだとしたら、わたしの説明が拙いせいなのでしょう。
今回のことは、そういった意味で大いに勉強になっています。
とてもありがたいことだと感じています。
意図が正しく伝わっているにも関わらず、それを受け入れたくないと思われる方が多いのであれば、今回の記事を書く必要性をより一層感じています。
「犬を擬人化しすぎないで」というのは、何よりもワンちゃんの幸せを考え、ワンちゃんのためを思ってのことですから、根気強くお伝えしていかなくては・・・と改めて感じています。
人はよく、
「自分がしてほしいことを人にもしてあげなさい」
と言いますよね。
けれども、たとえばワンちゃんが
「ボクは死んだミミズの匂いを体にこすりつけるのが大好きだから、飼い主さんもきっとそうだろう。
ボクが嬉しいことだから飼い主さんにもやってあげようっと♪」
と飼い主さんを「擬犬化」して、飼い主さんにミミズの死骸をこすりつけてきたら、それは飼い主さんにとって嬉しいことでしょうか?
きっと不快に感じますよね?
ワンちゃんに「望ましくない擬人化」をするということは、それと同じことをワンちゃんにして、人間の感覚を押し付けていることになってしまうのです。
それは、犬を愛する飼い主さんにとって不本意なことだとは思いませんか?
私が愛してやまないワンちゃんたちに そのような不快な思いをさせないために、ひとりでも多くの方に、今回のテーマをお伝えしたいと思いながら書いております。
【言葉の定義】
前回のブログで、
「犬は動物である」ということを決して忘れてはならない。
と書いたところ、
「人間だって言葉を話す動物。犬に対する差別では?」
というご意見をいただきました。
「人間だって動物」・・・その通りですね。
ただ、この場では「人間」と「それ以外の動物」を分けて考えるために便宜上「それ以外の動物」=「動物」と呼ばせていただくことをご了承ください。
また、「犬に対する差別だ」というご意見についてですが、ネガティブな意味合いの、いわゆる「差別」をする気はまったくありません。
わたしはワンちゃんが大好きだからこのお仕事をしていますし、ワンちゃんが大好きだから日々、犬についてお勉強をしているつもりでおります。
ただ、「差別」ではなく「違いを認識した配慮」は絶対に必要だという立場で「擬人化はしすぎないで」とお話させていただいています。
それを踏まえて・・・・
【犬と人間の違いと、望ましくない「擬人化」の例①】
差別ではなく配慮が必要だとお話ししました。
犬と人間の違いについて、ひとつひとつ考えながら、「望ましくない擬人化」が引き起こす可能性のあるリスクをご紹介したいと思います。
●情報の受け止め方が違う
人間と犬とでは、聴こえる音も、感じる匂いも、物の見え方も大きく違います。
たとえば、犬にしか聴こえない音や、犬だけがとても不快に感じる匂いに接しても、人間はそれを意識することすらできないのです。
◇この「違い」を理解せず、望ましくない「擬人化」をしてしまう例
・犬をノーリードで遊ばせていたら、何の前触れもなく突然遠くへ走り去ってしまい、国道に跳び出して車にはねられてしまった。
・ノーリードでお散歩していたら、突然通りかかった人に噛みつき、大ケガを負わせてしまった。
よく、ノーリードが許されていない場所で愛犬をノーリードで遊ばせたり、お散歩させたりしている飼い主さんがいらっしゃいます。
そういう飼い主さんは決まって
「ウチの子はぜんぜん大丈夫ですヨ!
今まで1度も逃げ出したり問題を起こしたりしたことはありませんし、攻撃性もまったくないですから。」
とおっしゃいます。
きっとそうなのでしょう。
そうでなければノーリードになどしようとも思われないでしょう。
そしてもちろん、「ここでなら大丈夫そうだ」「今なら大丈夫そうだ」という場所や状況を見極めてリードを外されているのでしょう。
でも、もしもワンちゃんにとって、とても恐ろしい不快な音が聴こえてきたら?
その音は飼い主さんに聴こえない音だったら・・・?
驚いたワンちゃんは、飼い主さんの声も耳に入らないパニック状態になって、怖い音から逃れようと一目散に車通りの多い国道に突っ込んでいってしまうかもしれません。
同様に、人間にとってはいい香りでも、ワンちゃんにとっては許せないほど不快な香りをさせている人が、すれ違う時にジっとワンちゃんの目を見つめたりしたら・・・?
ワンちゃんは犬が変わったように、その人に猛然と襲い掛かってしまうかもしれません。
昨年、孫(赤ちゃん)を預かっていた祖父母の家で、飼い犬のゴールデンレトリーバーが突然、その赤ちゃんの頭に噛みついて、赤ちゃんが亡くなってしまうという悲しい事故がありましたね。
飼い主さん(祖父母)は、もちろん
「絶対にウチのワンちゃんは大丈夫」
と思っていたから、赤ちゃんと愛犬を一緒のお部屋にいさせたのでしょう。
「噛みつくかもしれない・・・」
と思っていたら、絶対に一緒にはさせていませんね。
他にも、つい先日 判決が出てニュースになっていた、以下の事故をご存知の方は多いかと思います。
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飼い犬のダックスをお散歩中に、和犬に驚いたダックスが急に走り出して、飼い主さんがリードを離してしまいました。
付近をランニング中の男性が、突然飛び出してきたそのダックスに驚いて転倒してしまい、手首に後遺症がのこる骨折を負ってしまいました。
男性は損害賠償を請求し、裁判所は「飼い主の係留(犬をつないでおく)義務を怠った」として飼い主に1280万円の損害賠償命令を下しました。
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この飼い主さんも、こんな事態を予測できていたとは思えません。
もし予測できていたら、突然ダックスが走り出したとしても絶対に手からリードが離れないような持ち方をしていたはずですね。
このような事故のお話は後を絶ちません。
事故を起こしたワンちゃんの飼い主さんは、必ず口をそろえてこうおっしゃいます。
「まさかウチの子が・・・今まで一度もこんなことはなかったのに・・・本当におとなしくてイイ子なんです!一体全体、どうしてこんなことになってしまったのか・・・」
どうしてか・・・その理由のひとつは、
「情報の受け止め方が人間と犬とでは異なるため、犬は予想外の行動をとる可能性が常にある」
「『おとなしくて聞き分けのいい子供』と『おとなしくて聞き分けのいい犬』とでは、まったく違う注意を払う必要がある」
ということを正しく認識できていない「望ましくない擬人化」によるものです。
加えて、次の違いについても認識が足りないと言わざるを得ないでしょう。
●身体能力が違う
犬が本気で走ったら、人間になどとても追いつくことはできません。
犬が本気で噛みついたら、神経や骨まで達するような重傷を簡単に人間に負わせることができます。
事例は、もう上記でご説明したことで十分ですね。
感情的には、愛犬は我が子であり家族です。
素晴らしいことです。
我が子として、家族としてたっぷり愛情を注いであげてください。
けれども、お話したような「感じ方の違い」「身体能力の違い」などについては、そういった感情は別にして正しく認識しておかなくては飼い主の責任は果たせません。
それこそが、何度もお伝えしている
「犬は動物である」ということを決して忘れない。
ということなのです。
「イイ子」であっても「家族」であっても「我が子」であっても「おだやかな子」であっても、それが大前提なのです。
<今日のPet Hotel 11!>
ワンパク軍団! |
Mくん「ねえねえHくん、出ておいでよ~」 Hくん「お、やるかぁ~~?!」 |
ガオーーッ!! |
・・・ってやるのが楽しくてしかたないんだよね~! |
ワンパク軍団の横で、まった~りするKおばあちゃん |
Kおばあちゃん、逃げてーーー! |
絶妙なタイミングでかわすのは、さすが 年の功(笑) |
Hくんはわかるけど、Nちゃん・・・ 可愛らしい女の子なのにねぇ~(;'∀') |
一方そのころ・・・ ボス「あ、どうぞボクたちにはお構いなく~~」 ハイハイ(-_-;) |
マイペースのRくん 「そろそろおうちに帰るよ~~!」 お留守番、よく頑張ったね! また遊びにおいでね~(^▽^)/ |
午後の海岸さんぽ♪ 海がとってもきれいな日でした! |