2018年3月21日水曜日

犬の殺処分方法についてもっと語るべきじゃない?④

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。




前回のブログの続きです。


・炭酸ガスによる犬の殺処分が、犬たちにとって大変な苦痛を与える方法であること。

・殺処分方法について「できる限り苦痛を与えない方法を用いること」と法律で定められているにも関わらず、わが国では炭酸ガスによる殺処分が全体の96%を占めていること。

・殺処分自体の法的根拠や殺処分の具体的な方法の法的規制はないため、自治体に要請すれば殺処分方法を安楽注射法に変えることができる可能性が高いこと。

 
などについてお話してきました。

さて、諸外国の殺処分事情はどのようになっているんでしょーか?



【諸外国の殺処分事情】



●欧州(ヨーロッパ)とイギリス


「ペット動物の保護に関する欧州条約」 (European Convention for the Protection of Pet Animals ETS No.125)

に基づいて、ペット動物の殺処分に際しては獣医師等が安楽死させることを基本としています。

イギリスにおいても、殺処分方法は注射による安楽殺です。



●アメリカ


主要な動物保護団体は、ペット動物の殺処分は安楽死による方法で行っています。

また、アメリカの州の半数は炭酸ガスによる殺処分を禁止しています。

その他の州に対しても、HSUS(全米人道協会)が、膨大な科学的データをもとにガスによる殺処分は動物を不必要に苦しめる」として廃止を求めています。

Bringing an End to Inhumane Euthanasia(冷酷な殺処分を終わらせよう)



【諸外国と日本の殺処分率は?】


わたしたちは、つい「殺処分頭数」ばかり気にしてしまいますが、犬の飼育頭数や流通頭数自体が国によって違うので、単純に頭数を比較してもあんまり実情が見えてきません。

そこで、殺処分率についてちょっと調べてみました。

殺処分率というのは、保健所や保護施設に収容された犬のうち、どれくらいの割合が殺処分になったか・・・ということです。

保護した動物の収容施設が充実していなかったり、新しい飼い主への譲渡が進まなかったりすれば、当然 殺処分率は高くなるということです。


●イギリス


イギリスでは、飼育できなくなった犬や猫は基本的に民間の保護団体の施設(シェルター)で受け入れています。

いわゆる”野良犬”のような所有者不明の犬は自治体が保護し、7日間留置した後、所有者が現れなければ

①新たな飼い主への譲渡
②民間の動物保護施設等への譲渡
③殺処分

のいずれかになります。

”野良犬”に関しては日本と同じような制度ですね。

そして、民間の動物保護施設も、自治体の留置施設も、いずれも保護した犬の殺処分率は1割程度です。


●ドイツ


ドイツ動物保護連盟では、「ティアハイム」の運営指針において、基本的に殺処分してはならないと定めています。

ただし、治る見込みのない病気やけがで苦しむ動物については、動物福祉の観点からむしろ殺処分(安楽死)が必須であるとしています。

(ナットクですね)

殺処分の判断は獣医師によってなされ、殺処分方法は痛みのない安楽死に限るとされています。

(日本と違って、根拠も方法も明確に決められていますねぇ~)


以上のことから、ドイツの保護犬の殺処分率は不明ですが、ゼロに近い数字だと推測されますね。


<おまけ>


ただし・・・

ドイツにはドイツ連邦狩猟法という法律があって、野生動物を保護する目的で野良犬や野良猫を駆除することを狩猟者に認めてきました。

つまり、猟師は合法的に野良犬などを駆除(殺処分)することができることになっていたんです!

2013年当時は、年間6万5千頭の犬が猟師によって駆除されていると指摘する動物保護団体もいました。

他の国だったら保護施設に収容するはずの野良犬を猟師が駆除していたのですから、単純に保護施設における殺処分率が低いからといって評価できない状態でした。


2015年に狩猟法が改正されて、現在では原則として犬を射撃することは禁じられています。

その犬が狂暴で、安全に捕獲することができないケースに限って射撃による殺処分が認められています。



●アメリカ


アメリカの動物保護施設では、施設の空きスペースの関係で、残念ながら数多くの健康な犬と猫が殺処分されています。

HSUS(米国動物愛護協会) ASPCA(アメリカ動物虐待防止協会)などは、殺処分を減らす運動に取り組む一方で、ペットの数が多すぎることや施設のスペースが限られていることから、最終手段としての殺処分を容認せざるを得ない状況です。

少し古い数字ですが、2012~2013 年の統計では、全米の動物保護施設に収容された健康な犬と猫の殺処分率はおよそ4割でした。


●日本


さて・・・いよいよわが国の殺処分率です。

上記の諸外国の統計は、いずれも資料が少し古くて、およそ7~8年前のものなので、同時期で比較してみましょう。


イギリスが1割

ドイツはほぼゼロに近い数値

アメリカは4割


でしたね。


同じころ(2012年)の日本の殺処分率は・・・


77.3%!!


2006年まで、日本における殺処分率は90%台をキープしていたのですから、これでも減ってきているんですが・・・それにしても諸外国と比較してダントツに高いですね(-_-;)


日本で保護犬になったら、ほぼガス室送りだぞーーーっ!!


っていう状況でした・・・(タメイキ)


その後、動物愛護の概念が遅ればせながら進んできたことや、民間の保護団体による懸命の活動を受けて、殺処分率はどんどん下がり、直近の環境省の資料によると2018年度は

49.2%

つまり、保護された犬と猫のうち半数はなんとか殺されずに済む・・・というところまでこぎつけました。


わたしたちの住んでいる日本って国は、つくづく遅れていますねぇ・・・



【1日も早く殺処分方法を安楽法に!】


諸外国と日本を比較してみると、日本は保護したペットの殺処分率が高く、殺処分方法も非人道的なやり方が野放しになっていることがよーくわかりました。


WAP(世界動物愛護協会)は、愛護動物の二酸化炭素による殺処分は容認し難いとしています。

OIE(世界動物保健機関)の動物福祉基準は、「野良犬の頭数抑制(Stray dog population control)」の中で、犬への二酸化炭素を使用した殺処分は「死ぬまでに時間がかかり、苦しむ可能性が高い」としています。


こうした世界基準とわたしたちの国の現状との大きな差を、ひとりひとりが正しく認識しいかなくてはなりません。

そして、殺処分頭数を減らすことはもちろん、現実に今、この瞬間にも殺処分されていく子たちの苦しみをできる限り小さくする努力を、今すぐにしなくてはならないと強く思いました。



<参考資料>

環境省の統計資料

国立国会図書館 諸外国における犬猫殺処分をめぐる状況 ―イギリス、ドイツ、アメリカ―  調査及び立法考査局農林環境課 遠藤 真弘)





<今日のPet Hotel 11!>

お天気が悪いので・・・

グゥタラグゥタラ~~

つまんな~~~~い!

シッポを追いかけるのにも飽きたころ・・・

雪が降ってきたよ~~~~!!

あんまり寒いのでお散歩はウンチだけにしたよ!
海岸も雪化粧♪綺麗~~~!