前回ブログのつづきです。
ちょっと長いですが、難しいお話をできるだけ易しくお話するようがんばりますので、がんばって読んでいただけたら嬉しいです。
【八週齢規制に関する資料の分析結果に喝!!】
●検討会の結論は・・・
母犬やきょうだい犬から引き離す時期が早すぎた子犬は、成長してからかみ癖などの問題行動を起こしやすくなるとして、動物愛護先進国では八週齢以前に子犬を母犬から引き離してはならないとされています。
日本の法律では、附則で
「8週齢規制については科学的知見を踏まえ5年以内に検討する」
としていて、環境省が実施した調査に基いて判断されることになっていました。
そして、その調査は行われました!
犬4033頭を対象に、実際の調査は環境省から委託された麻布大学 獣医学部の菊水教授のチームが行いました。
調査結果は動かぬ統計数字です。
ところが、このまったく同じ統計について、その分析結果(結論)は以下のように有識者と環境省では正反対になりました。
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・実際に調査を行った菊水健史教授の分析
「問題行動の程度に有意な差があることが証明された」
・統計学の権威である東京大学社会科学研究所 佐々木彈教授の分析
「これだけ有意差が出にくい調査で有意差が出たという意味は極めて重い」
・環境省の分析
「子犬を母犬から引き離す日齢と問題行動の発生の関係性は証明されなかった」
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●真逆の分析結果
行われた調査は、アンケートから得られた犬たちの問題行動の頻度や程度を集計し、親元から子犬を引き離した日齢を次の3群に分けて、問題行動を起こす確率に3群間で差が生じるかどうかを調べるものでした。
① 46-49日齢引き離し群(6週齢)
② 50-56日齢引き離し群(7週齢)
③ 57-69日齢引き離し群(8週齢)
※ちなみに現在の日本では法律で①は禁止されているので、②と③の間に差異が生じるかが大きな論点になっています。
まったく同じ統計調査の結果を見て、上記のように意見が分かれたのは一体どういうことでしょうか?
わたしは、環境省が発表した資料と、その前提として開催された検討会の議事録のどちらにも目を通しましたが(記事の最下部にリンクがあります)、その結果を個人的に要約すると次のようなことになります。
菊水教授(動物応用科学の有識者であり、上記調査の実施者)と佐々木教授(”統計は暴走する”の著者で統計学の有識者)の見解は
『問題行動の起こしやすさには、その差は小さいながらも②と③の間で有意な差があった』
というもので、環境省の見解は
『問題行動の起こしやすさには、②と③の間で有意な差があったものの、その差は小さかった』
というものだってことです。
どっちも正しいけど・・・結論に持ってきてる部分が違うんですね。
『あの子は性格が悪いけど美人だ』 VS 『あの子は美人だけど性格が悪い』
みたいな感じだと解りやすいでしょーか・・・
どっちを結論に持ってくるかで、おんなじことを言っていても意味合いが違ってくるってことです。
●環境省の言い分を更に深掘りしてみよう
正確には環境省の言い分というよりも検討会でのやり取りを総合的に見ると・・・ということになりますけれど、要は次のように結論づけているんです。
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②と③の差はまあ有るといえば有るけれど、すごく小さな差だから、単純に子犬を母犬から引き離す時期を八週齢にしても問題行動の解決にはたいして繋がらないよね!
つまり、犬の問題行動の要因は母犬から引き離す時期以外にも、
・先天的な気質
・ブリーダーのかけ合わせ方
・流行犬種の無理な繁殖
・飼い主のしつけ方
・ブリーダーやペットショップにいる間の環境
などといった複雑な要因がいくつも関係していると考えるのが妥当ってことだよね!
だったらこの問題を解決するには、八週齢規制ではなくて、もっとそういうことを総合的に見ていかないと意味がないよね?!
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なるほど確かに・・・そうだよねぇ~~~~!
・・・って( ゚д゚)ハッ!
ウッカリ頷いちゃったじゃないかーーーっ!!
●ちーがーうーだーろーーーー!!
ああコワイコワイ・・・なんて巧妙な分析の仕方なんでしょう!
じゃあみなさん、想像してみてくださいな。
たとえば、次のような統計結果が明らかになったと仮定したらどうでしょう?
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①生後5ヶ月までママが”いないいないばあ”をしていた赤ちゃん
②生後6ヶ月までママが”いないいないばあ”をしていた赤ちゃん
①と②を比較すると①の方が②よりも将来犯罪者になる確率が高いことが判りました。
ただし、その差は小さいので、すべての赤ちゃんに”いないいないばあ”を6ヶ月まですれば犯罪率が激減するなんてことはなく、他にも様々な要因が複雑に絡み合っているのでしょう。
※もちろんこの研究結果はお庭番が思いついたフィクションです!信じないでね~
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この研究結果を受けて、
「あそっか~、じゃあ6ヶ月まで”いないいないばあ”をすることには意味がないから、ウチの子にはするのやめよう」
と思う母親がいるでしょーか?
もちろん、他にもたくさんの要因が絡み合ってるんでしょーよ!
だけど、そっちの分析はまだまだ時間がかかるんでしょーよ!
だったらまずは、小さな差異であっても差が出ることが明らかになったことをやるよねえ?
できることや判ったことから まずやるよねえ?!
一体全体・・・何をスットコドッコイなことをブっこいちゃってんでしょーか?(←品がありませんよ)
●関連性があるかないか
今回の調査は何年もかけ、膨大なデータを集計するとゆー本当に大変な調査だったんです。(わたしじゃなくて菊水教授がだけど・・・)
その調査によって、子犬を母犬から引き離す時期が八週齢以降の方がそれより前に引き離すよりも、多少なりとも将来の問題行動を起こす確率を下げられることが明らかになった・・・にも関わらず、その差が小さいという理由で八週齢規制を見送れば、もうこの国で再度同じような大規模な調査を行って法律を検討することはないかもしれません。
どんなに小さな差異であっても、そこに有意差があったのであれば、それを八週齢規制の科学的根拠として正々堂々と評価すべきです。
それ以外の問題行動の要因については、それからまた研究によって減らす努力を続けるべきです。
それを、
「差はあったけど小さかったから」
「1週間遅らせることでペットショップ業界の儲けが減っちゃうから」
などといった理由だけで『有意な差が出た』という結論を帳消しにしようとする姿勢と、その分析のしかたには、ものすごく巧妙かつ恣意的なものを感じざるを得ませんし、今回の調査に投じた膨大な税金の無駄遣いだっ!!と大きな声で言いたいです。
●透明性に疑義
もうひとつ、環境省が発表した今回の調査結果の報告書に捏造疑惑が持ち上がって先日ニュースになっていました。
その内容は以下のようなものです。
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環境省は、結論を導いた根拠の一つとして挙げた「決定係数」について、放送大学のテキスト「社会調査の基礎」が出典だと報告書に記載していました。
でも実際はこの本に該当する記述はなく、用語や数字は変換されたものでした。
環境省は「直接的な引用ではない文献に対し、『出典』と表記」したと認め、本に出てくる用語や数字を独自に「変換」(同省)したことを明らかにしてHP上に『お詫び』を掲載しました(今はもう消されています)
更に、出典が正確ではなかっただけではなく、報告書内で「まとめ」とした結論部分のすぐ下に
「決定係数が0.04以下は、統計学では『ほとんど相関がない』と解釈される」と注記していました。(これも今はもう消されています)
けれども、先出の東大教授 佐々木彈氏は
「統計学の関係者の間で『決定係数0.04以下』で線引きするという共通認識は存在しない。値が小さいからといって関係性がないと断言できたりする性格のものではない」
と指摘していますし、「社会調査の基礎」の執筆者、大塚雄作氏(京大名誉教授)も
「決定係数は一つの目安に過ぎない。小さな決定係数でも意味のある関連性が潜んでいることも少なくない」
と指摘しています。
ーーーーーーーーー
上記のニュースは、直接結論に関わることとは違いますが、環境省がわざわざ出典元の言葉や数字を変えてまで報告書に載せた内容や注記は、調査そのものを担当した菊水教授の報告書にはなかったものです。
八週齢規制と犬の問題行動には相関関係がないことを環境省が強調したいがためにわざわざ載せたとしかわたしには思えず、ヒジョーに狡賢い悪質性を感じます。
うまく説明できたか自信がありませんが、環境省が今回の調査結果をどう分析したか?そしてどう報告書に記載したか?などを見れば、いかに環境省がこの調査結果を
「八週齢規制を実施する必要性はない」
という結論に導きたかったか?
がヒシヒシと伝わってきませんか?
長くなってしまいました。
このお話は次回にあとちょっとだけつづきます。
●参考文献
報告書平成29年度犬猫幼齢個体を親兄弟から引き離す理想的な時期に関する動物行動学的調査業務
「幼齢犬猫の販売等の制限に係る調査評価検討会」(第2回)議事録
<今日のPetHotel11!>
朝の海岸さんぽ♪
気持ちのいいお天気だねぇ~!
Mちゃん、海を見ながら快便♪♪♪
チャコ・・・(-_-;)
あ~あ・・・(-_-;)
・・・というワケでお散歩から帰ると
早速ブラッシングの刑に
チャコにとっては至福の時間(^_^;)
Mちゃん「いいなぁ~!ワタシも
ブラッシングしてほしいわ~~!」
チャコ「今ワタシがブラッシングして
もらっている番でしょーがーー!」(キッ!)」
お庭番にヨシヨシされるMちゃん
チャコ「ちょっとぉ~!やめてよねー!」
お庭番「じゃあMちゃんもブラッシング
してあげるね」
Mちゃん「ワーーイ♪」
イジけるチャコ (;・∀・)
お庭の擁壁に虫さんを発見したとしお
傷つけないように気をつけながら・・・
虫さんをもてあそぶとしお
笑ってる・・・(;・∀・)
必死に移動する(逃げる)虫さんを
ずーっと追跡していましたとさ(笑)
としお「あ!Mさん!ボクと遊んでくれるですか?」
Mちゃん「ち・・・ちがうわよ~~」
Mちゃん「遊ばないったら~・・・」
最近、聞き分けの良いとしお
Mちゃんはしつこくされることなく
ホっとしています(*^_^*)
でも・・・このダックスおじさん(ボス)は・・・
ボス「ねえねえMちゃん、ボクと
サッカーボールで遊ぼうよ」
Mちゃん「いや~ん、興味な~~い」
ボス「ホラホラ、面白いよ♪」
ボス「よしっじゃあ次は・・・
この物置の上にあるボールを取ってきてよ!
Mちゃん、大きいからできるでしょ?」
Mちゃん「・・・・・無理に決まってるでしょ!」
Mちゃん、相手にしなくていいよ~~(^_^;)
ナツ「としお、何咥えてるの?」
としお「ナイショです~~」
としお「♪♪♪」
としおが愛おしそうに遊んでいるのは
一体何かと思ったら・・・
ボスが剥いだ
サッカーボールのボロ布でした(-_-;)
Mちゃんはボウルから飲むよりも
蛇口から直接豪快にお水を飲むのが・・・
Mちゃん「スキ♪」
Mちゃん「夕方のお散歩ではウンチ出なかったけど
ネンネの前にお庭でいいウンチでたのよ!
ママ、安心してね~~!!」
※業務連絡でした~~(^_^;)
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