前回のブログにひきつづき、戦う訓練士 中村信哉さんのお話です。
【批判する資格】
●知らないから簡単に批判できる
人は、自分の知っていることが全てだと思い込んでしまうものです。
昔、貧困と飢えに苦しむ民衆が
「今日食べるパンもないんだ!」
と叫ぶのを聞いたマリーアントワネットは、何の悪気もなく
「パンがなければケーキを食べればいいのに・・・」
と言ったという逸話があります。
彼女には飢えに苦しむという経験がまったくなかったために、本当に何も食べるものがない人がいることなど想像もできなかったのでしょう。
同じように、今まで飼っていたワンちゃんのしつけがうまくいっていた人にとっては、飼い主さんが血まみれになるほど本気で咬みついてくるワンちゃんがいるなんて信じられないのでしょう。
誉め言葉も制止の言葉も聴こえないほど興奮し、野性を剥き出しにして襲い掛かって来る獣のような愛犬の顔など、想像もできないのでしょう。
中村さんに対して
「叩くなんてかわいそう!そんなことしなくても犬は言い聞かせればちゃんとわかる生き物なのに・・・」
と、リビングのソファでお茶を飲みながら眉をひそめている人たちは、マリーアントワネットと同様に、きっと動物好きな心の優しい人たちで、まったく悪気などないのだろうと想像します。
けれども、そのリビングに中村さんが訓練中の咬みつき犬をたった1頭でも放り込んでみれば、
「おりこうちゃんね~」も「オスワリ」も「オヤツよ~♪」も「ダメよ~!」も通用しない犬のリアルな存在感を一瞬で理解するかもしれませんね。
撫でようとして出した手は、次の瞬間 食いちぎられているかもしれません(;'∀')
●中村さんの実績
何人もの訓練士やトレーナーが
「更正の見込み無し。殺処分しか道はない」
とさじを投げた 本気の咬みつき犬を受け入れている中村さんの元には、今現在も100頭以上の咬みつき犬たちがいます。
とてもリビングには入りきれませんね(;^_^A
そして、中村さんは今まで預かったそれらの咬みつき犬の、実に82.1%を見事に更正させました。(H30年1月7日現在)
どういうことか、おわかりでしょうか?
凶暴性のために殺処分される瀬戸際にいる犬が100頭いたとして、そのうち82頭が中村さんに命を救われ、飼い主さんのおうちで幸せに生涯暮らせるようになったということです。
※実際には、中村さんは本気咬みの犬を今まで300頭以上更正させてこられました。
それでもまだ、
「叩くなんてかわいそうよ~!叩くくらいなら静かにガス室で殺してあげればいいのに・・・」
なんて言える人がいますか?(でてこーい!)
●愛犬救命訓練士
中村さんはこう呼ばれています。
最悪の場合、飼い主さん家族を噛み殺してしまうかもしれない犬。
ご近所のワンちゃんを噛み殺してしまうかもしれない犬。
その結果、殺処分にされそうになっている犬。
そんな犬を、正しく訓練することによって、文字通り命を救う活動をしている人。
それが中村信哉という人です。
『咬むのなら 殺してしまえ 咬みつき犬』
『咬むのなら 咬まなくさせよう 咬みつき犬』
どっちが動物虐待なのでしょう?
●更正できなかった犬たち
そんな中村さんでも、どうしても咬み癖を矯正できなかった犬たちがいます。
先ほどの更正率の残り、17・9%の子たちですね。
中村さんはその子たちを、咬みつき癖がなおらないまま飼い主さんに返すでしょうか?
殺処分場に送るでしょうか?
いいえ、中村さんは、更正させられなかった子をご自身の愛犬として引き受け、最後まで面倒をみるんです。
「残念ながら、本来の犬としての楽しい犬生を送らせてあげることはできないかもしれないが、少なくともここにいれば天寿をまっとうできる」
そう言ってその子たちのお世話をしているんです。
今回、テレビ放送を見てその事実を知った何人かの方から、中村さんに寄付の申し出があったそうです。
けれども中村さんは
「この子たちはもうわたしの愛犬。自分の愛犬は自分の稼ぎで面倒をみるのが当たり前」
として、それを辞退されたそうです。
犬への真の愛情がなければ到底できないことだとは思いませんか?
●こだわりの鞭(ムチ)は愛の鞭
中村さんが、体罰を用いなければ矯正できない犬たちに使用している鞭があります。
これは、中村さん手作りのオリジナル。
割った竹を2枚組み合わせて作ったその鞭は、叩くと竹同士が当たってするどく大きな音が鳴ります。
けれども、実際に犬が感じる衝撃は、2枚の竹に吸収されることによって、見た目ほどではありません。
つまり、するどい音と軽い痛みが同時に与えられることによって、その瞬間だけ犬が
「( ゚д゚)ハッ! これはイケナイことなんだ」
と気づくことを目的として使用しているものです。
叩かれたことによる痛みが後々まで残ることもなく、もちろん後遺症が残るようなこともありません。
そこまで考え抜かれた道具を手作りする手間を惜しまない中村さんに、軽々しく
「虐待だ!」
などと言える人は、実態をあまりにもご存じないように思います。
●咬みつき犬の再犯率
よく、愛犬のしつけをトレーナーさんに依頼した飼い主さんから、
・トレーナーさんの指示には従うけれど飼い主さんの指示は無視する。
・トレーナーさんのところではできていたのに、おうちに帰って来るとできなくなる。
というお話をイヤッってほどききます。
ところが、中村さんに託された咬みつき犬が卒業後、自宅に戻ってから再び咬みつき事故を起こした確率、すなわち再犯率はたったの3.67%です。
なぜ中村さんの訓練は再犯率がこんなにも低いのでしょう?
●最後まで面倒をみる
中村さんによると、自宅に帰って問題行動が再発する原因の多くは、訓練士がすべきたいせつなふたつのプロセスが抜け落ちていることだそうです。
それは
◇問題行動の原因を完全に取り去ること
例えば、咬みつき癖のある犬が咬むのは、自分に与えられたストレスへの拒絶反応です。
人に触れられるのがストレスの子もいれば、じっと見られることがストレスの子もいます。
ストレスから逃れようと犬も必死でくりかえし咬みついてくるのは、咬みつけばストレスから逃れられるという成功経験を犬がしてしまっているからです。
そのような子を完全にストレスから解放してあげるには、ストレスに慣れさせるしかありません。
そのためには、気が遠くなるほど何度も何度も反復訓練をして、その子がもう、それらのストレスを恐るるに足りないと実感し、克服するまで付き合ってあげる必要があるんですね。
ストレスの原因を克服してしまえば、訓練士さんだけでなく、他の誰に対しても咬みつかないようになります。
中村さんは、そこまでやってから飼い主さんに犬をお返ししているのですね。
◇飼い主さんへの訓練を怠らない
せっかく犬が訓練されておうちに帰っても、リーダーたる飼い主さんが従前と同じやり方しかできなければ、犬はまた元通りになってしまうでしょう。
そのため、中村さんの訓練施設では飼い主さんへの”正しい飼い方”の指導も徹底して行っています。
更に、卒業したワンちゃんの飼い主さんが困った時は、飼い主さんの自宅に行ってレッスンをしています。
まさに、現場で 本来の飼い主さんが 正しく愛犬を扱えるように指導するんですね。
中村さんの、ここまでのきめの細かい訓練内容を知ると、多くの人が「すごい!」と驚きます。
おそらく、中村さんが「訓練士なら当然やるべき当たり前のことだ」と思っているこれらのことを、多くのトレーナーや訓練士と言われる人が、いかにやっていないかということの証明ではないでしょうか?
●中村さんを批判する資格のある人
もしも、本気で咬みつこうと人間に襲い掛かってくるような何百匹もの咬みつき犬たちを、まったく威嚇することも叩くことも押さえつけることもなく、ただ優しく褒めるだけの方法で更正させ、飼い主さんの元に返すことを実践した人がいたなら・・・
その人は確かに
「中村くぅ~ん、犬を叩いちゃダメだよ叩いちゃぁ~・・・ 可哀相だろ~?」
って言う権利があるのかもしれません。
そんな人をご存じの方はーーー?(手ぇあげーーー!)
【要注意】
今回の番組を見て、一般の飼い主さんが安易に
「そっか、やっぱり犬は叩いてしつけなくちゃねっ!」
などと勘違いをして愛犬を叩くことは絶対に絶対にやめていただきたいと思います。
『イイ子のみんなはマネしないでねっ!』
ってヤツです。
中村さんが多くの犬を更正させているのは、訓練士としての卓越した経験と技能によって、
叩くタイミングや強さ。
本当に叩く必要があるのか?
叩くと逆効果になる犬かどうか?
などといったことを的確に見極めて行っているからです。
安易に叩くことは、それこそ虐待に繋がりかねませんし、かえって愛犬の問題を深刻にしてしまう恐れがありますので、どうかお忘れなきように・・・
※プロフェッショナル 仕事の流儀(ワンちゃんスペシャル)は、NHK総合で本日の深夜(0:10)から再放送されます。
見逃した方は、録画して永久保存にするほどの価値がありますから、ぜひご覧ください!
<今日のPet Hotel 11!>
ボス「ボクは行かないよ!レインコート着て おさんぽなんて!」 |
ボス「ボクはいないんだからね・・・」 |
ボス「やーめーてぇ~~」 |
Rくんは脚が長~いからお腹濡れないし、 レインコートいらないね(^▽^)/ |
ボス「あんまりじゃなーい?きこえてますけど~…」 |
朝の海岸おさんぽ♪ ボス「ねー”なつ”ぅ~、見てみて、またクラゲさんだよ~」 |
なつ「ああ~~ん?あんだって~~~?」 なつ・・・お洋服着て濡れた海岸に寝っ転がるの やめてくれないかなぁ・・・(-_-;) |