前回のブログにつづいて、「マテ」ができなかったKくんに、わたしたちが「マテ」を教えた方法をご紹介します。
※おことわり
どんなトレーニングにも「コレさえやれば間違いない」という方法はありません。
その子の個性に応じて工夫をする必要があります。
ご紹介している方法は、あくまでもご参考にしていただけたらと思います。
【Kくん「マテ」を覚える】
●訓練の方法とKくんの変化のようす
金属の器は「克服」っていうよりも「実は平気だった」という感じだったKくん(笑)
2日目からの1番の課題は「マテ」の徹底です。
◇下地
「マテ」の練習といっても、ただそれだけやっていればいいというワケではありません。
一番大切なのは、Kくんが、わたしたちのことを、少なくともPet Hotel 11!にいる間は自分のリーダーだと認めてくれるように振る舞わなくてはなりません。
リーダーって言うと、威張っているようなイメージかもしれませんが、そうではありません。
Kくんが
この人は自分を守ってくれる。
この人はボクを大切にしてくれる。
この人は信頼できる。
この人について行こう(この人の指示に従おう)
そう思ってくれるように振る舞うということです。
「マテ」にしても、その他のことにしても、まずはそういった下地ができていなくては、ワンちゃんは従ってくれません。
Kくんは1年ほど前に1度、わずか2泊とはいえ Pet Hotel 11!にお泊りしてくれていましたので、少なくとも
「ああ!ここね、この人たちね!ならまあ危険なことはないかな」
程度の安心感は持ってくれていました。
でもだからといって、わたしたちのことを自分のリーダーだなんてまだ認めてはいない状態です。
わたしたちは、Kくんに限らずPet Hotel 11!にお泊りするワンちゃんたちには、次のように接することにしています。
・甘えて飛びついてくるのを許さない
(飛びついてきたらかわして、オスワリかフセをさせてから撫でたり抱っこしたりします)
・お散歩時に引っ張らせない。健康で若い子なら歩きたがらなくても抱っこしない。
(引っ張ってはダメだと教えつつ、歩きたくない子は励ましながらお散歩します)
・要求吠えには応じない
(ワンワンがおさまってから構ってあげます)
★逆に、ひたすら不安そうに隅っこで震えているような子には、こちらから行って撫でたり抱っこしたりして安心させてあげます。
これらは全て、ワンちゃんに
「ここでのリーダーはわたしたちだよ」
ということを認識してもらうのに必要なことです。
シリーズの初回でもお話しましたが、お泊り中のワンちゃんにわたしたちがリーダーだと理解してもらい、指示に従ってもらうことは、ワンちゃん自身の安全を守るために大変重要なことだからです。
もちろん、Kくんにもそのように接していました。
Kくんは決して飛びついて甘えるようなことはしない子でしたが・・・(笑)
そのようにして、Kくんに、少なくともPet Hotel 11!では、わたしたちがリーダーだと思ってもらえる状態になっていました。
◇「マテ」の練習 1日目(お泊り3日目)
最初は、「マテ」と言ってごはんを置こうとすると、すぐに食べようとするKくんでした。
「マテ」の意味が解っていないようだったので、鋭く怖い声で
「マテ!!」
と言いながら器を引っ込めてしまいます(この時点ではまだ1度も器を置いていません)
Kくんは怒って「ウ~ウ~・・・」と唸りますが無視。
その繰り返しを何度かして、最後に優しくてトーンの高い声で
「ヨシッ♪」
と言いながら器を置いてあげ、食べているKくんを褒めちぎりました。
「マテ」を鋭く怖い声で言うのは、Kくんに
「なんだ?食べようとしたら怒られたぞ・・・マテだって・・・なんだなんだ?」
と感じてもらうためです。
「マテ」の意味は理解していなくても、鋭く怖い声で「マテ」と言われ、更に「マテ」と言われている間は床に器を置いてもらえないので、物理的に食べることができません(^-^;
また、たとえ強制的であっても、「ヨシ」と言うまでKくんは食べなかったのですから、そのことを評価して「ヨシ」の後は十分に褒めたたえてあげます。
言葉の意味を理解していないうちは、「マテ」と「ヨシ」の声色にできるだけ差をつけて、声の調子によって「ダメなこと」と「いいこと」の区別がつくようにしてあげるんです。
つまり、こわい声を出すのは、むしろ思いやり。(←ホントホント!)
言葉が通じない外国人に拒否や否定の意思を伝えたい時に、ニコニコしながら
「いえいえ、困りますぅ~~うふふ」
なんて言ったら相手を混乱させるだけですから、首を横に振りながらこわい顔をしてみせるなどしますね?
それと同じことです。
最初はとにかく解りやすさがダイジ!
◇「マテ」の練習 2日目(お泊り4日目)
<朝食>
前日はごはんを”置こうとしながら”「マテ」をして、置くと同時に「ヨシ」でしたが、今回はごはんを床に”置きながら”、やっぱりするどく怖い声で
「マテッ!!」
と言って器から手を離します。
すると、Kくんはすぐに食べようとするので、ふたたびするどく
「マテッ!!」
あれれ?とKくんは食べるのをやめるけど、またすぐに食べようとするので
「マテッ!!」
この繰り返しです。
途中、一瞬、待ちきれずにKくんがごはんに口をつけてしまったので、その時は素早く器を引いてしまいました。
もちろんKくんは、ものすごーーーく怒っていました(笑)
※ワンちゃんによっては、器を下げようとすると「盗られる」と思って咬みついてくる子がいますので、十分にお気をつけください。
「なんだ?また怖い声でマテって言ってるぞ・・・もしかして、マテって言ってるときは食べちゃだめなのかな?」
ということがKくんに伝われば大成功です。
<夕食>
お夕飯の時には、Kくんはフライングすることなく、「ヨシッ♪」と言うまで待つことができたので、器を下げる必要はありませんでした。
ただし、まだ油断すると何度も何度もごはんに口をつけそうになるので、「マテ」はするどく怖い声で、そして何度も言わなければなりませんでした。
声の迫力で動きを封じている感じですね(^-^;
やはり「ヨシッ♪」は高いトーンで優しく言って、そのあとはうーーんと褒めてあげます。
◇「マテ」の練習 3日目以降
既に、Kくんは「マテ」と言われたら「ヨシ」と言ってもらえるまで食べてはいけないことを理解できましたので、あとはひたすら忍耐力を養う練習です。
ダメだって判っているけど・・・んも~~ガマンできないっ!!
ってなってしまいそうになるKくんを、するどく「マテッ!!」と言うことで制止することの繰り返しです。
ちなみに、前回もご紹介した以下の動画は、練習4日目の夕食時のものです。
まだ、「マテ」はけっこう威圧的な声で、何度も(数えたら6回でした)言っていますね?
/
つづいて、次の動画をご覧ください。
練習5日目の夕食時の動画です。
前日よりKくんが更に成長しているのが解りますか?
わたしの「マテっ!!」が昨日よりいくぶん穏やかな声になっていて、回数も少ないのがお解りいただけるでしょーか?
Kくん、相変わらず不服そうに文句を言ってジレジレしているものの、フライングをしてしまいそうな危なっかしさはなくなってきましたね♪
これが定着して、「マテ」の意味とすべきことをしっかり理解してしまえば、もう怖い声を出す必要も、何度も「マテマテ」言う必要もなくなります。
参考までに、ボス・なつ・チャコの「マテ動画」も載せておきます。
※ちなみに、動画の「ウウ~・・・」と唸っている声は、ボスとなつの下にいるKくんの声です(笑)
”なつ”(まん中)が気にしてちょっと気が散ってますね。
「ハッハッ」言っているのは、チャコの下にいる中型犬のおばあちゃんです(笑)
さて、たかが「マテ」されど「マテ」
このままKくんがおうちでも「マテ」の練習を定着するまで続けていくと、今後のKくんにどんな変化が現れるでしょうか?
わたしは、ある期待をしているのですが・・・・
長くなったので、つづきはまた次回にさせていただきまーーす!
<今日のPet Hotel 11!>
元KDP保護っ子のKおばあちゃん 不安でいっぱいだったけど、よく頑張ったね! 飼い主さんがお迎えに来てくれて 「捨てられたんじゃなくてお留守番だったんだ♪」 ってもう解ったよね(^▽^)/ |
とっても綺麗な模様でしょ~~~?! |
臆病Kくん なんて、もう呼ばせないよ! 今日からお泊りのCくんに積極的に接近するKくん |
Kくん「オマエ、新人か?そのわりに態度デカいな!」 Cくんは、Pet Hotel 11!3回目だも~ん(笑) |
最初は他のワンちゃんに近づくことなんて 絶対にできない子だったのにね・・・ |
お庭でもみんなの近くに自分から行くようになって・・・ 態度も堂々として、成長したねぇ~(^▽^)/ |
なつ「え?ワタシぃ~~?」 いやいや、アナタはちょっと堂々としすぎ~ (^-^; |