2018年2月14日水曜日

犬の祖先に関する「まことしやか」なフェイクニュース②

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。



前回のブログのつづきです。

愛犬家のみなさんにとって、あまり関りのないお話だと思われるかもしれませんが、最後までお読みいただければ、決してそんなことはないということがお解りいただけるかと思います。


【感情に流されることの怖さ】


●たいした問題ではない?


前回ブログでご紹介した写真は、BBCの「Frozen Planet」の写真に、無断で全く事実と異なるキャプションをつけてネット上に投稿され、それを見て感動した人々によってまたたく間に拡散されました。

今や、元となった写真と、写真の状態を表す真実のキャプションよりもずーっと有名になってしまっています。

こうなるともう、ねつ造された方が多くの人が知る”既成事実”のようになってしまいますね。

人によっては

「まあ、ウソだとしてもいいじゃないか。それで感動し、社会の思いやりや、リーダーのあるべき姿を人々が考える一助になるならさっ♪」

と考える人もいるかもしれません。

でも、わたしはその感覚はとても怖いものだと思うのです。


一番怖いのは


「事実と全く違うウソであっても、人々の感情に働きかけることによって群衆を間違った方向に誘導することができてしまう」


ということです。


●プロパガンダ


プロパガンダというのは、特定の思想・世論・意識・行動へ誘導する意図を持った行為のことです。

日本語では、情報戦、心理戦、宣伝戦、世論戦などといわれます。

多くの独裁者は、この手法を用いて民衆の心を掌握し、洗脳してしまいます。

そして、ほとんどの戦争はプロパガンダによって誘導された民衆によって引き起こされているんです。


●ナイラ証言


<戦争反対!>


1990年8月、イラクがクウェートに侵攻しました。
アメリカの油田のあるクウェートへの侵攻に、アメリカは国益損失の危機感を覚えます。

けれども当時、アメリカ国民の8割は戦争に反対でした。

当時のイラクは経済的危機に陥っていて、石油の値上げをさせて欲しいと取引国に頼んでいましたが、それを拒否されたことによって人々の生活は困窮していました。

ギリギリの状態まで追いつめられたイラクは、生活を改善するために武器を持って立ち上がらねば・・・ということになり、油田の帰属を主張して止むにやまれずクウェートに侵攻したという背景がありました。

多くのアメリカ人は、そういったイラクの事情を理性的にとらえていたんですね。


<全米が泣いた!>


そんなとき・・・

ある一人の少女がメディアに登場し、涙を流してある証言をしました。

クウェートから奇跡的に生還した15才のナイラちゃんです。


「病院に乱入してきたイラク兵士たちは、生まれたばかりの赤ちゃんをいれた保育器が並ぶ部屋を見つけると、赤ちゃんを一人ずつ取り出し床に投げ捨てました。

冷たい床の上で赤ちゃんは息を引き取っていったのです。本当に怖かった……」


それまで、戦争に突入すべきではないと国民の8割もが言っていたアメリカは、この証言を境に一変します。

ナイラちゃんの証言は、ブッシュ大統領やマケイン上院議員が十数回にわたって引用しました。

更に多くのメディアを通じてくりかえし報道されました。

ナイラちゃんの証言は、人々の涙を誘い、怒りを駆り立てました。

ハリウッド映画の宣伝文句じゃないけど

「全米が泣いた!!」

ってヤツですね。

その結果・・・多くの人が戦争反対だったはずのアメリカ国民の8割もが、戦争賛成に転じたんです!

いわずとしれた湾岸戦争ですね。


<真っ赤なウソ>


ところが・・・

全米を泣かせた証言をしたナイラという少女は、実は在米クウェート大使館の娘だったことが後になって判明しました。

奇跡的にクウェートから生還したというのも真っ赤なウソで、実はナイラはアメリカ国内で贅沢な暮らしをしていたことが明らかになったんです!


アメリカ政府が国民についていたウソは他にもあります。

イラク軍による油田破壊で石油まみれになった水鳥たちの写真が公開されたのですが、まったく別な場所(メキシコ湾)におけるタンカー座礁事故の時の写真を流用したものでした。

結果的に、アメリカは多額の戦争収益を得ましたが、


「まあ、ウソだとしてもいいじゃないか。それで感動し、国がひとつになったんだし、第一儲かったしさっ♪」


ってなるかーーーい!!


どれだけたくさんの人が犠牲になったと思ってるんだーーーい!!


わたしは、自分が聞かされたお話に感動して、後からそれが大嘘だったと知ったとしたら・・・裏切られたような気持ちになり、いい気持ちはしません。

はじめから「これはフィクションです」と断ってもらった上で、小説や映画に感動するのとはぜんぜんワケが違います。


●太平洋戦争中の犬のおはなし


太平洋戦争当時に日本国内で飼われていた犬たちが、どのような運命を辿ったかは、以前にもこのブログでご紹介しました。

戦争に翻弄される犬たち①
戦争に翻弄される犬たち②
戦争に翻弄される犬たち③

こども向けのラジオ番組では、戦場に行った軍用犬たちをヒーローのように取り上げ、めざましい活躍ぶりを「立派ですねぇ」と報じましたし、新聞などでもそのように伝えられていました。

たくさんのこどもたちが、

「ウチのポチも、お国のために活躍しているんだね!!」

などと目を輝かせていました。

けれども実際には口減らしのために供出された多くの犬たちは戦場に行って活躍するどころか、兵士たちのための毛皮にされたり、精肉工場に送られたりしていたのです。

そして、少数精鋭として戦場に連れて行かれた犬たちは10万頭もいましたが、1匹たりとも祖国の土を再び踏むことはできませんでした。


●感情が揺さぶられた時は・・・


多くの人々が、同じ感情を抱き、同じ感覚を持ったとき、それを日本語ではよく”空気”と呼びますね。

「イヤとは言えない空気」

「反対の意思を示せない空気」

「真実は違うのではないか?と発言できない空気」

特に、「いいお話」とか「感動的なお話」に対して異論を唱えることは、「空気が読めないやつ」とか「無粋なヤツ」などと言われて嫌われる傾向にあります。

でもね・・・常日頃からそういったことに無関心になって、空気を読んで流さることに慣れてしまっていると、いつの日か取り返しのつかない何かに、群衆のひとりとして加担してしまうことになるのではないか・・・・


そんな恐怖を感じています。


今回ご紹介したオオカミの群の写真が、どのような目的をもってねつ造されたのかはわかりません。

単に誰かが「イイネ!」をたくさん欲しくて軽い気持ちでやったことが、大成功して世界中に拡散したのかもしれませんし、もっと別な意味合いを持っているのかもしれません。

だけど、少なくともこの行為は、

写真を撮った人、番組を制作した人、オオカミたち

に対して不誠実だと思います。


だいたい、ウソをつかないと人々を感動させるお話ができない人なんて・・・

たいしたヤツじゃーないわよっ!

オオカミ舐めんなよ~~~!


くりかえしになりますが、人は「つまらない真実」よりも「感動的なウソ」を信じたいと思う生き物です。

現在、ネット上をはじめとして、犬のしつけや健康に関する情報が溢れかえっています。

そうした情報の中には、飼い主さんの不安な感情を煽るようなウソが潜んでいる可能性もあります。

現代に生きるわたしたちは、自分の感情が揺さぶられた時ほど、

「その嘘、ホントーー?!」

と、情報の真偽に敏感に、そして慎重になるべきではないかと感じています。




<今日のPet Hotel 11!>


朝の海岸さんぽ

砂浜って大好き!
みーんなテンションあがっちゃうヨ♪

怖がりKくん、少しずつ他のワンちゃんに慣れてきたね!

お散歩に行く前に外してポイッてしていた
自分のオムツに顔をつっこむKくん

取れなくなっちゃったよぅ~~
笑ってないでたすけてぇ~~!
(笑)(笑)(笑)

あ、とれたぁ・・・ε-(´∀`*)ホッ
心配そうに見つめるBちゃん
「だいじょうぶぅ~?」

Bちゃん、大好きなお庭遊びでゴッキゲン♪♪

ウリだよ~ん

(苦手なワンちゃんがいたんだよね 
めずらしくテンション低めのウリくん 笑)

ウリくん「Bちゃん・・・ボクを守ってね!」
Bちゃん「そんなこと言われても・・・」

自分から他のワンちゃんの方を向くことがなかった
Kくんが、ちょっとずつ慣れたワンちゃんには
自分から行くように・・・
成長してるねぇ~!まぶしいよ(^▽^)