2018年10月5日金曜日

群の意識(犬同士のコミュニケーション)⑫

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。





前回ブログのつづきです。


【社会性とは居場所である】


●依存 と 共存


母犬と早期分離させられるなどして犬としての社会性が十分身についていない犬は、成長してから問題行動を起こす可能性が高いという研究結果がありますね。

でも・・・

他の犬とあえて交流させずに人間とだけ暮らしているのなら、特段 犬社会における犬としての社会性が高い必要はないように思えるのに不思議だとは思いませんか?

犬社会における社会性が身についていない犬が、人間としか接触しない暮らしの中でも問題行動を起こしてしまうのは一体どういうワケでしょう?!

その理由について、わたしはこんな風に考えています。


犬という動物は、ずっと昔に人間と共存する道を選びました。

目的は、犬という種を守り、生き抜くためです。

それは知恵と高い社会性があればこそ可能になった偉業です。

結果的に・・・犬たちの祖先のオオカミは絶滅の危機にさらされている一方で、高い知恵と社会性を武器に人間社会に食い込んだ犬たちは隆盛を極めていますね?

けれども、犬たちは決して「人間になる道」を選んだわけではありません。

あえて強い言葉を使いますが、犬たちは


「犬として生き続けるために人間を利用する生き方を選んだ」


という方が正しいとわたしは考えています。

ですから、犬たちにとって最も必要なのはやはり、彼らが犬として本来持っているべき犬社会における社会性なのだと思います。

それが身についていて、はじめて「一人前の犬」と呼べる、犬としての完成形になるのではないでしょうか。


一人前の自立した犬が、犬としての誇りを持って人間と共に暮らすことを「共生」と呼ぶなら、

犬としての社会性を身につけることができない半人前の犬が、アイデンティティーも自信も持てないまま人間の世話になりながら暮らすのは、人間への「依存」に他ならないのだと思います。

では、「依存」だと何が困るのでしょう?


それは、飼い主との信頼関係が築けないということにつながるからです。


本来、人間と犬はたとえ飼い主(リーダー)と飼い犬(メンバー)という関係であっても、お互いに自立し、自分に自信を持っていきいきと暮らすべきです。

自立した人間と犬がお互いを認めあい、尊重しあって共生するからこそ、そこに信頼関係が生まれます。


ところが・・・・


自分が何者なのか?というアイデンティティーが確立できない社会性の低い犬は、飼い主に盲目的に依存して生きるしかありません。

それは、常に飼い主の顔色を伺い、捨てられないかとビクビクしながら生きる不安な暮らしです。

両者の間にあるのは、信頼関係とは程遠い「隷属関係」になってしまうのではないでしょうか。


このように不安定で不健全な関係しか飼い主と築けない犬たちが、精神的な不安定やフラストレーションから、分離不安症やパニック、多動(落ち着きの無さ)や咬みつきなどといった問題行動を発現しても不思議はないのではないか・・・

わたしはそのように考えます。


おそらく・・・


「社会性がある」というのは、犬にとっても人間にとっても


「自分の居場所がある」


と同義語なのではないかと思います。


●ご家庭犬にも犬の社会性は必要


前回のブログでもお話したように、今までたくさんのワンちゃんをお預かりしてきた経験から、いかにも人間社会に馴染むことが難しそうな元保護犬よりも、ペットショップで購入して子犬の頃から飼われている犬の方が精神的に不安定な子の割合が多いと感じています。

これは、統計や研究結果ではなく、わたしたちの実感です。

それはやはり、犬の精神安定に最も必要なのは、人間社会における社会性ではなく犬社会における犬としての社会性だということの裏付けなのではないかと思っています。

また、わたしたちのペットホテルで数日過ごしたワンちゃんの飼い主さんが


「なぜかとってもおりこうになって帰ってきました」


と仰ることが多いというお話は以前から何度かしています。

わたしたちはむしろ、pethotel11!で過ごす犬たちに対しての介入は最低限にし、安全管理に最も神経を割いているので、1頭1頭との関わりはむしろおうちにいるときよりも淡白なはずです。

いわゆるトレーナーさんのようにマンツーマンでしつけに時間を割くといったこともほとんどありません。

にも関わらず、ここで他の犬たちとの時間を過ごした犬たちが「おりこう」になって帰っていく理由は、やはり犬同士の関わりを持つことによって、犬としての自信がつき、精神的に安定を得ていることが大きいように思うのです。

(飼い主さんのおっしゃる「おりこう」とは多くの場合「落ち着いた」という意味だと思っています)




【社会化が不可能な子】


●何のための社会化か


犬としての社会化に最も大切な社会化期を逃してしまい、そのままだいぶ年をとってしまった子は、残念ながら他の犬たちと積極的に関わらせても、健全な社会性を身につけるには相当長い時間が必要でしょう。

更に、長い時間をかけても社会性を身につけることができない子も多くいます

わたし個人は、それでも少しでも可能性があるならば、社会化のチャンスを与えてあげるべきだと考えています。

他の犬たちと関わることができなくても、他の犬たちの交流を同じ場所でながめているだけでも何かしらの変化を見せる子はたくさんいるからです。

けれども、そのようなチャンスを与えてもなお、まったく社会化の兆しを見せないワンちゃんについてはどうすればいいでしょう?


一番大切なのは、社会性を身に着けさせたい目的は何か?を明確にすることだと思います。


◇愛犬が犬らしく幸せな犬生を送れるようにしてあげたいから


もし、愛犬の幸せのためというのが目的ならば、飼い主さんご自身の目で冷静に”損益分岐点”を見極めてあげてください。

つまり、社会化のために他の犬たちと接する機会を数多く設けることによって愛犬が見せる好ましい兆候と、愛犬が感じるストレスのどちらが大きいのか・・・です。

個人的に、社会化の大きなターニングポイントは1才前後のように感じています。

1才前後までのワンちゃんであれば、多少の無理をしても他の犬たちと積極的に関わらせた方がいいということです。

次のターニングポイントは、だいたい3才前後のように思います。

時間はだいぶかかるけれども社会化の可能性は十分あると感じるのがこの年令だという意味です。

更にそれ以降の年齢に関しては、本犬さんの性質によって大きく分かれるでしょうが、年齢が上がるにつれて


社会化など夢のまた夢・・・


と思えるような子の割合も増えてしまうのは残念ながら事実です。

その場合は、何が何でも社会化を!!と飼い主さんが焦れば焦るほど本犬さんが感じるストレスも大きくなってしまうでしょうから、どうか目的を見失わないようにしていただきたいと思います。



◇問題行動を是正するため


愛犬の問題行動が社会性不足のためかどうかを見極める必要がありますが、いずれ既に社会化が難しい年齢になっているワンちゃんの問題行動については、別なアプローチを試みることも必要かもしれません。

一番大切なのは、ワンちゃん自身の心の安定です。

精神状態が安定するだけで、問題行動が改善する事例は数多くあります。

そのためにも社会性をつけることが理想ではありますが、できないことを無理強いしても仕方ありませんね。

問題行動をなんとかしようと焦るあまり、飼い主さんが色々な情報や流行に飛びついて、ワンちゃんへの接し方やルールをコロコロ変えることは、ワンちゃんをより不安定な気持ちにさせるので、まずは落ち着いてください。

このブログでは何度もお話していることですが、飼い主さんご自身がまずは


”穏やかで落ち着きのある毅然としたリーダー”


になることです。

ワンちゃんを変えられないのなら、ご自身が変わるしかありません。

もし、アナタのワンちゃんが社会性がなく、アナタに”依存”しているとしたらなおさら、頼りなくて不安定なリーダーに依存することほど不安なことはないとは思いませんか?


ベストが無理ならばベターを目指す気持ちで、愛犬との暮らしをぜひベターなものにしてみてください。




最後に・・・

やはり、犬たちがわたしたちの幸せで健全なパートナーであるために、子犬が母犬や兄弟犬と最低でも生後八週間は一緒に過ごすよう繁殖業者や流通業やに義務付けをする


「八週令規制」


の実現は、もっとも急がれるべき課題だと再認識しています。







<今日のpethotel11!>

モードな感じのAくんは
pethotel11!初めてのお泊り

Sくん「ボクは2回めだよ!」

Aくん「よろしくね!」
Sくん「う・・・うん」
2回目なのに押され気味だねSくん(笑)

でも、すぐに仲良くなって
なんだかふたりとも凛々しく見えるよ(*^_^*)

「エヘ♪でも実はまだちょっと
緊張してるんだ~~」

「ヘヘン!ボクは緊張なんかしてないよ」
(ホントかなぁ・・・笑)

ボスは目も耳も赤くなって・・・
アレルギーがちょっと悪化してるかな~
ボス「かゆいよぅ~」

チャコ、毛刈りしようって言ってたのに
今日はできなくてゴメンね~!
チャコ「ううん、むしろラッキー♪」
(^_^;)

で・・・ナツ姐さんは相変わらず
お隣んちを覗くのに夢中なワケね(笑)
ナツ「リスはどこだ~~~」
(ナマハゲかよ!!)








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