2018年6月8日金曜日

置き去りにされためぐちゃんのお話⑤

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。




前回ブログのつづきです。


【なぜこんなことになったのか 4】


●元飼い主は所有権を放棄していない?


◇判決理由の振り返り


めぐちゃん裁判の判決で、わたしをはじめ多くの方が疑問に感じたであろう点について考えてみたいと思います。


裁判において 元飼い主女性は、


「犬の所有権を放棄したことはない。被告には引き渡す義務がある」


などと主張し、東京地裁は


「女性が所有権を確定的に放棄したとまでは認められない」


と判断し、Aさんは敗訴しました。

更に、控訴の結果、東京高裁も一審判決を支持したのでしたね。


裁判所は、「元飼い主は犬の所有権を放棄していない」と判断した理由を次のように述べています。


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置き去りにしたのは交際相手の男性であること。

・元飼い主は犬が保護されたことを認識しており、犬の生命などに重大な危険がないことを知っていたこと。

・遺失物法が定める期限(3カ月)ギリギリではあるものの、元飼い主は遺失物届けを出していて、愛犬を連れ戻す行動をとったこと。

・以上のことから、元飼い主自身は愛犬を捨てておらず、飼い主としての責任も果たしていたと考えられる。
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さて、これらの理由をきいた人の何人が


「確かに・・・元飼い主はめぐちゃんを捨ててはいないよね~」


と納得するでしょーか?

少なくとも、わたしはチャンチャラ納得できまへん。



◇めぐちゃんは捨てられた


置き去りにしたのは交際相手の男性であること。

だからなんだというのでしょう?

元飼い主は、Aさんとの面談で、次のように語ったといいます。


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犬を置き去りにした時は、会社の上司と交際し同居していた。

その同居男性が犬を嫌いで、犬を公園に置き去りにしてきたのもその男性。


男性を怒らせたら職を失うかもしれなかったし、結婚話も破断になってしまうかもしれなかったので、何も言えなかった


けれども今はその男性と別れ、元夫と再婚することになったので、また犬を飼えるようになった。


自分はその犬を家族だと思っているので返してほしい

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要するに、元飼い主の女性は、交際相手がめぐちゃんを公園に置き去りにしたことを知っていたわけです。

知っていて、止めなかったのです。


雨が降りしきる夜じゅう、口輪をされ、短いリードで公園の柵に繋がれていためぐちゃんが、Aさんのような真面目ないい人に保護され、警察に届け出てもらえるとは限らないことも判っていたはずです。


虐待を趣味とするような輩(やから)にいいようにされていたかもしれません。

通報されて保健所の職員に捕獲され、殺処分になっていたかもしれません。


しかも、当時彼女は交際相手と結婚を考えていたのです。

めぐちゃんを捨てた男性と、彼女の望み通り順調に結婚できていれば、この先めぐちゃんを飼うことは不可能なことも知っていたのです。


つまり彼女はその時、めぐちゃんが自分のライフプランにとって邪魔になったということです。

それなのに、裁判所は


「遺棄したのが本人ではないから」


ということを、元飼い主が所有権を放棄していない理由に挙げているのが不思議でたまりません。

ホント、繰り返しますが


だからなんだというのでしょう?




・元飼い主は犬が保護されたことを認識しており、犬の生命などに重大な危険がないことを知っていたこと。

この理由に至っては、呆れて物も言えません(←いや、すごい言うけど~)

個人的にわたしは、この事実をむしろ「悪質」だと感じました。


元飼い主が、めぐちゃんが保護されて無事でいることを認識したのは、Aさんが発信していたSNSを見てのことです。


「ああ、あの子、いい人に引き取られて元気にしているのね~、ヨカッタぁ~♪」


そう思ったことでしょう。

罪悪感が少しは軽減されたことでしょう。

でも元飼い主は、その事実を知ったからといって、すぐにAさんにSNSを通じて連絡を入れ、


「今は無理だけど、いつかきっとその子を迎えに行きますので、それまでどうかよろしくお願いします」


と言って、Aさんに養育費用を支払うなどという、飼い主であれば当然とるべき行動を取っていません。

その時点で元飼い主は、めぐちゃんを捨てた交際相手と結婚するつもりでいたからなのでしょう。

ところが、交際相手と破局した途端、めぐちゃんを取り戻したいという欲求にかられ、


「私はその犬を家族だと思っているので返してください」


とAさんに言います。


家族だと思っている?

返してください?


めぐちゃんが公園に置き去りにされて以降、飼い主としての責任を何一つ果たしていなかった元飼い主が、どうしてこんなことをAさんに言えたのでしょうか?

どうやら、彼女の考える「家族」とわたしが考える「家族」はまったく別なもののようです。

わたしから見ると、元飼い主はめぐちゃんを飼っていたのではなく、めぐちゃんに依存していた・・・ただそれだけのことでしかありません。




・遺失物法が定める期限(3カ月)ギリギリではあるものの、元飼い主は遺失物届けを出していて、愛犬を連れ戻す行動をとったこと。

遺失物法によると、警察が動物を保管しておかなくてはならない期間は2週間のはずですから、今回のケースで3か月という基準を当てはめている根拠が不可解というお話は前回した通りです。



・以上のことから、元飼い主自身は愛犬を捨てておらず、飼い主としての責任も果たしていたと考えられる。

この判決理由に関しては、もう開いた口がふさがりません(←いや、ちゃんと閉じるけど~)

めぐちゃんの元飼い主が、「飼い主の責任を果たしていた」と考えられるのは、どのあたりを指して言っているんでしょうか?


交際相手がめぐちゃんを公園に置き去りにするのを止められなかったから?(←ブビーちがいます)

Aさん家族が毎日親身にめぐちゃんのお世話をしているのをコッソリと一方的に見ていたから?(←ブビーちがいます)

3か月以内にAさんに「ウチの犬を返して」とちゃんと言ったから?(←ブビーちがいます)


どこ?どこですか?


裁判所が並べた理由の全てが指している事実は、むしろ判決とは真逆のことです。


めぐちゃんは、間違いなく元飼い主に「捨てられた」のです。



●裁判で元飼い主の責任が問われなかったことについて


動物愛護管理法 第44条 3項 は、次のような内容です。


『愛護動物を遺棄した者は、百万円以下の罰金に処する。』


なぜ、今回のめぐちゃん裁判では、元飼い主が上記の罪に問われなかったのでしょう?


2016年に、イギリスでペットの犬を毛布でくるんで山道に放置した50代の男性が、懲役18週間、執行猶予12ヵ月に加えて、515ポンド(約7万5735円)の罰金と、「生涯ペット飼育禁止」を言い渡されました。


執行猶予がついている上に、罰金も微々たるものですが、非常に意味があるのは「生涯ペット飼育禁止」です。

つまり、この飼い主は「生き物を飼う資質がない」という判断を司法が下したということです。


めぐちゃんの元飼い主に対しても、わたしが裁判官ならば「犬を飼う資質のない人だ」と判断します。


日本の現行法において このような刑罰はないにしても、少なくとも動物愛護管理法で100万円以下の罰金に値する”法律違反”だと明記されていることに関して、裁判所が言及していないことには、大きな失望を感じました。


そんな法律・・・あっても意味ないぢゃ~~ん?



今回のような悲しい出来事は、真に常識的で公正な法制度と司法の在り方が実現しなければ、また繰り返し起きることでしょう。

自分が暮らすこの国が、こんなにも非常識な判断を「是」とする国だったかと思うと失望を禁じ得ません。




めぐちゃんは、既に14歳・・・大型犬の14才といえばもう平均寿命を超えていることは常識です。

そのような高齢犬の生活環境を変えることについて、「家族だと思っている」という元飼い主はどう考えているのでしょうか・・・


めぐちゃんの元飼い主には、井の頭公園の柵に口輪をはめて体を縛り付けられた状態で、一晩雨に打たれながら、よ~~~く考えてみていただきたいと思いました。






<今日のPet Hotel 11!>

14才のL父さんと、12才の息子Mくん。
ゆっくりゆっくりお散歩するんだよ!

お庭もとっても楽しんでくれました(^▽^)

ふたりとも、元気でね~~(^▽^)/

午後になって、別なダックス Rくん(13歳)が
久しぶりにやってきたヨ!
Rくん「すごく嗅がれてまーーす」

まだまだ元気!おさんぽだーい好きなんだ♪

ボス・・・顔がムーミンみたいだけど
れっきとしたダックスだよね~(笑)

チャコ「ねえねえウリ~、ダックスばっかりだと
思わない~?」
ウリくん「たしかに・・・!!」

ウリくん「ビションフリーゼをアピールしとかないとっ!」

ボス、うしろうしろっ!!(笑)

Cくん「トイプー、トイプーもよろしく~~~~!」

おじいちゃんダックスの前で俊敏さをアピールするCくん
(;'∀')

お庭に来ないと思ったら・・・なつーっ!
そのフワンフワンのクッションはCくんのでしょ?!

なつ「え?!そーーなのっ?!」

知ってるくせに・・・・(-_-;)