2018年4月27日金曜日

その予防接種、本当に必要ですか?⑨(レプトスピラを受けさせるか?)

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。





前回のブログでは、


・免疫持続期間が異なるワクチン同士が混合ワクチンとしてセットになっている矛盾。

・WSAVA(世界小動物獣医師会)がワクチン接種の指針として発表している『ワクチネーションガイドライン』で「予防の必要もなく、ワクチンの効果も実証されていない」と指摘されているコロナワクチンが含まれる混合ワクチンが多いという矛盾。


についてお話してきました。


今日は、レプトスピラワクチンについてどう考えるか?というお話です。


【飼い主さんを悩ませるレプトスピラ症対策】


●レプトスピラワクチンを打つかの判断材料


レプトスピラ症とはどういうものか?については、つい先日コチラ↓の記事に書きました。


「その予防接種、本当に必要ですか?⑦(各感染症について知ろう2)」


感染しても特に症状がないまま(気づかないまま)終わってしまう不顕性感染の場合もあれば、数時間~数日で死に至る場合もある感染症・・・なんて言われたら、万が一にも後者になっては困りますから「受けておこう」という飼い主さんも多いと思います。

そこで、判断材料になりそうな情報をいくつかご紹介しておきます。

ただ、最初にお断りしておきますが、レプトスピラに関しては掴みどころがないというか、まだ解明されていないことが多く、いろいろな文献を当たってみても謎に包まれています。

できる限り確実な情報のみご紹介したいと思いますので、判断の一助にしてくださいましー!



◇型について


既にご説明した通り、レプトスピラ菌にはたくさんの型があって(250以上と言われています)予防するためのワクチンを接種しても、型が合っていなければ意味がありません。

その中でも、国内で届出指定伝染病にされているのが、以下の7種


・ポモナ
・カニコーラ
・ハージョ
・イクテロヘモリジア
・グリポティフォーサ
・オータムナーリス
・オーストラーリス


更に、今まで国内のワンちゃんから検出された型は以下の6種です。


・カニコーラ
・イクテロヘモリジア
・コペンハーゲニー
・ヘブドマディス
・オータムナーリス
・オーストラーリス


更にさらに、ワンちゃんが感染して重症化すると言われている型が


・カニコーラ
・イクテロヘモリジア


のふたつでしたね。


じゃあ他の型のワクチンは必要ないんじゃない?


って思うかもしれませんが、ワンちゃんに感染しても重症化しないけど、人間やその他の動物に感染すると重症化するようなものもあるので、感染したワンちゃんがケロッとしていても飼い主さんに感染したら大変!ってことでワンちゃんにワクチン接種する意味がまったくないとはいえないわけです。



◇発生地域と発生件数について


これについては、農林水産省のサイトにバッチリ載っています。


「農林水産省 監視伝染病の発生状況」


このページには、犬のレプトスピラ症だけではなく、様々な伝染病の


・直近1年間の都道府県別月間発生件数(届出数)
・平成10年以降の都道府県別年間発生件数(届出数)
・昭和12年~直近年までの全国の年間発生件数(届出数)


がまとめられています。


これを見ていくと例えば、


「2006年~2016年には、全国平均で毎年およそ35頭のワンちゃんがレプトスピラに感染して動物病院にかかったのかぁ~・・・」

とか、

「Pet Hotel 11!のある神奈川県では、ここ10年くらい、レプトスピラに感染するワンちゃんは毎年1頭いるかいないかってことかぁ~・・・」


というようなことが判ります。


お住いの地域でレプトスピラの発生件数がどの程度なのかを調べることは予防接種を受けるかどうかのたいせつな判断基準になるでしょう。

また、汚れた淡水や湿地を好むレプトスピラですから、たとえば山や川へ愛犬を連れてキャンプなどに出かける際には、目的地のデータをあらかじめ調べて、必要だと感じたら予防接種を受けるというのもひとつの方法でしょう。

ただ、レプトスピラ症の報告件数は豪雨で川が氾濫した後などに増える傾向にあるので、普段発生件数が少ない地域にいても、もしそういう事態になった場合は、なるべくワンちゃんが汚れた場所を舐めないように気を付けた方がいいですね。



◇発生時期について


国立感染症研究所の報告によると、 2007年8月~2011年3月にかけて10県(茨城, 千葉, 三重, 宮崎, 佐賀, 福岡, 熊本, 鹿児島, 長崎, 沖縄)の地方衛生研究所、獣医師会、動物病院においてレプトスピラ症と確定した83頭のうち91%が8~11月に発生し、 約半数が9月の発生だったということです。

ワンちゃんの場合、レプトスピラ症の潜伏期間は数日~20日程度と言われていますから、感染に気を付けなくてはならない時期は7月~11月だという予測がたちますね。

・・・ということは、この時期に予防できるように考えて、もっとも効果的な時期にワクチン接種をする必要があるってことですね。


<参考>
国立感染症研究所のページ
イヌのレプトスピラ症とその対応について(大阪府獣医師会)




◇ワクチンの予想有効期間について


では、肝心なレプトスピラワクチンの予想有効期間について・・・前々回のブログでもご紹介した通り「1年以内」でしたね。

ザックリしてんな~~(;^_^A

もう少し具体的なデータはないか探したところ、『ワクチネーションガイドライン』のFAQの中に答えを見つけることができました。

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Q)レプトスピラワクチンによって、コアワクチンのような長期(例えば数年)免疫が得られるか、また、コアウイルスワクチンのように高い効果があるか?

A)ない。レプトスピラワクチンでは得られるのは比較的短期の免疫である。
また、一部のレプトスピラ製剤は臨床徴候を予防するが、とくにワクチン接種後 6 ヵ月を超えて感染した場合には、感染や排菌を防御しない。
ワクチネーション後の抗体持続期間はわずか数ヵ月であることが多く、防御免疫の免疫記憶は比較的短い(1 年など)。
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「ない」って言いきられちゃいましたね・・・(・_・;)

結局はハッキリわかっていないものの、接種後半年を経過すると感染を避けるのは難しそうです。

もっともリスクが高い7月~11月の感染を避けるためには、4月や5月に接種するよりも、6月中旬以降に受けた方がいいかもしれないなぁ~・・・ってことが判りますね。



◇副作用のリスクについて


獣医さんや飼い主さんのブログで、何件か見かけた記述が


「レプトスピラワクチン接種によって副作用を起こす事例が多いようだ(実際に愛犬が副作用を示した)」


というものでした。

けれども、それを科学的に立証するデータを見つけることはできませんでした

ただ、『ワクチネーションガイドライン』のFAQにも次のような質問があるため、獣医さんたちの肌感覚で、他のワクチンと比べてレプトスピラワクチンが何らかの副作用(副反応)を起こしやすいという風に思われているのではないかと感じています。


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Q)レプトスピラに対する免疫応答はある種の犬に過敏症反応を引き起こすが、これはレプトスピラ感染後の免疫が短期間(例えば 1 年未満)しか維持されないのと同様に、短期間しか維持されないのか?

A)長期間維持される。
比較的短期間しか維持されない(1 年以内)免疫や IgG 記憶とは異なり、即時型過敏症の免疫記憶は長期間維持される(4 年以上)ことが、皮内反応試験の結果から分かってい
る。
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更に、上記FAQによると、レプトスピラワクチンの効果は1年未満にもかかわらず、過敏症などの副作用は4年以上も続くとありますね・・・(-_-;)



ここからは、完全に個人的な考えというか想像です。

レプトスピラワクチンが副作用を起こしやすいというデータはないのに、実際にレプトスピラワクチン接種によって副作用が起きたと主張する獣医さんや飼い主さんが国内で多いのは、次のような要因も考えられるのではないでしょーか?


国内で一般に混合ワクチンを接種するのは1年に1回の人が多い。



1回のワクチン接種でレプトスピラを含む混合ワクチンを選ぶと、おのずと「7種以上」の混合ワクチンになる。



1度に多くのウイルスや菌を体に入れることによってワンちゃんの免疫反応が過剰になって(ビックリしちゃう)、それだけ副反応を起こす確率も高まる・・・



こういったことを総合的に考え併せて、わたし自身はレプトスピラワクチンを自分の愛犬に接種するかどうかを、以下のように判断しました(ご参考までに・・・)


・レプトスピラ症の発生件数がきわめて低い神奈川県に暮らしているため、基本的にはレプトスピラワクチン接種は考える必要はないだろう。

・ただ、発生件数が多い地域に行く前には検討する必要があるだろう。

・また、最近の集中豪雨の発生率の高さを考えて、受けておいた方がいいと思う日がくるかもしれない。

・もしもレプトスピラワクチンを接種する場合は、コアワクチンと同時に受けるのは絶対にやめて、十分な間隔をあけてレプトスピラワクチンのみを接種しよう。



※レプトスピラワクチンのみのワクチンは各製薬会社から出ていますので、かかりつけの獣医さんに相談してみてください。



さて、みなさんはご自身の愛犬にレプトスピラワクチンを接種しますか?

ぜひ、おおいに考え悩んで決めてください。

決して獣医さんに「9種がいいですよー」って言われるままに・・・という理由だけで決めるようなことがないようにしてあげていただきたいと思います。



長くなりました。


次回につづきまーす!




<今日のPet Hotel 11!>

朝のおさんぽで・・・
Sくん「チュッ♪」

Mくん「ンバーーッ!」
・・・なにやってんの(-_-;)

Mくん「お?昨日せっかくボールを泥団子にしたのに
綺麗なボールが出てきたぞ!」

Mくん「おーいみんな、泥団子の作り方教えてあげるよ」
Sくん&Rちゃん「えーなにそれ、楽しいの」

Mくん「サイコーに楽しいに決まってるよっ!!」

Mくん「ボールをこうしてお水に浸して・・・」
嗚呼、みんなの飲み水がぁ・・・(;'∀')

Mくん「こっちで泥をいっぱいつけて・・・」
春日みたいな顔になってるよ・・・(-_-;)

Mくん「またお水に浸す・・・をくりかえすだけ!」

Mくん「ね、簡単でしょ?ほーら、こんなにステキな
泥団子の完成~~♪」

・・・って、誰もきいてないよ(-_-;)

ボス「ボクのボール~~~!」
ヨシヨシヨシヨシ・・・
ボス「や、やめてぇ~~~~!」

コラッ!こんなにドロドロにしてー!!(怒)

まったく反省してないな・・・(-_-;)

ああ!だけどMくんがつけた泥ジミが・・・
奇跡的に日本地図に・・・
天才犬かーーっ?!(ちがうから~)

どーも~!久々にお世話になりまーす!
ごん太でーっす!

なつ「ごん太くん、久しぶり。なんで柵閉められてんの?」

ごん太「Mくんがボクを怖がるからでーーっす!」
Mくん、さっきと別犬みたいな顔になってるよ(笑)