2018年4月23日月曜日

その予防接種、本当に必要ですか?⑤

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。




前回のブログのつづきです。


誤解されている方がいらっしゃるようなので、念のため今までお話してきたことについて補足説明をさせていただきます。


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①狂犬病ワクチンは法律で決められていますから1年に1回必ず接種しましょう
(今後、法律が見直されて適正な接種間隔になることを望んでいます)

②狂犬病以外の混合ワクチン接種についても、特にコアワクチン(3種)の接種は公衆衛生の観点から必要と考えています。

③ただし、過剰な混合ワクチンの接種は無意味なだけでなくワンちゃんにとってリスクと負担になるので反対の立場です。

④安心で安全な混合ワクチンの接種のために、多くの飼い主さんに抗体価検査を受けることをお勧めしています。

⑤ワンちゃんが集まる施設が求めるエビデンス(証明書)も「予防接種証明」だけでなく「陽性を示す1年以内の抗体価検査証明」なども認められるようになればいいと考えています。

⑥そのためにも、飼い主さんは自らどんどん施設に問い合わせをしましょーね~!
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・・・ってことを書いてきました。

決して


「予防接種なんて必要ないよ!」


などと言っているのではありませんので、誤解なきようお願い申し上げます。



さて・・・では改めて本日のお題を・・・




【混合ワクチンは何種?】


ドッグランや犬と泊まれるホテルで、利用規約に


「5種以上の混合ワクチンを1年以内に接種していること」


とあるにもかかわらず、前々回のブログでわたしが実際に複数の施設に問い合わせをしてみたところ、


「ジステンパー、パルボ、アデノの3種類について抗体価検査結果が陽性だという1年以内の証明書でもOK」


という回答が返ってきたことに、「3種でいいの?」という疑問を感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

その疑問を晴らすには、混合ワクチンがどういうものか?について知らなくてはなりません。



●コアワクチンとノンコアワクチン


犬のコアワクチンと言われているものは、次の4つです。


・狂犬病
・ジステンパー
・パルボ
・アデノ


この中で、日本で犬の飼い主さんに義務付けられている予防接種は「1年ごとの狂犬病予防接種」のみです。

義務となっている理由は、狂犬病が人にも感染する人獣共通感染症であることと、感染すればほぼ確実に死に至る恐ろしい感染症だからです。


狂犬病以外の3つについては義務ではなく任意ですが、コアワクチンに位置づけられているということは、できるだけ接種しておいた方がいいよってことで強く奨励されているワクチンという意味です。

コアワクチンとされている理由は、簡単にいうと重篤化する可能性と致死率が高いから



これに対して、時と場合によっては(住んでいる地域の気候特性や出かける場所の特性、ライフスタイルなど)に応じて感染リスクが高いと感じるなら接種した方がいいよ、っていうワクチンがノンコアワクチンということになります。

ノンコアワクチンは、以下のようなものがあります。


・パラインフルエンザ
・コロナ
・レプトスピラ


など。



●ワンちゃんが集まる施設の責務


わたしたちのペットホテルもそうですが、多くのワンちゃんが集まるような施設(ドッグラン、ペットホテル、ペット同伴宿泊施設、トリミングサロンなど)では、重篤な症状や高い致死率のある感染症が施設で広まっては大変ですから、責務として当然、利用するワンちゃんの飼い主さんに


「愛犬が、少なくともコアワクチンには感染しない可能性が高いということを証明して下さいな」


っていうお願いをするのが一般的です。

飼い主さんは、他のワンちゃんと接触する可能性のある愛犬にはコアワクチンに該当する感染症の予防を心がけるべき責任があるということですね。


ならば、施設の規約に書くべきなのは、


狂犬病予防接種 + 3種のコアワクチン予防接種


だけで十分なはずなのに、あえて「5種以上の混合ワクチン接種証明書」とあるのは何故でしょう?



●獣医さんに予防接種を受けに行くと・・・


多くの飼い主さんたちはご存知だと思いますが、獣医さんに混合ワクチンの接種に行くと、その選択肢として5種が最低ラインであることがほとんどです。


理由としてもっとも有力だと考えられるのは、製薬会社の都合です。

製薬会社はせっかく作ったワクチンをできるだけいっぱい売って儲けたいわけです。

ワクチンには消費期限がありますから、売れ残ったら廃棄するしかなくて大損になってしまいます。

しかも、義務ではなく任意となっているコアワクチン接種する飼い主さんは全体の2割程度だといわれています。

ただでさえ少ない、任意の混合ワクチンをする飼い主さんのほとんどが、3種のコアワクチンしか選ばないとしたら、ノンコアワクチンの売上金額が伸び悩みますねぇ~!

そこで、製薬会社としては3種よりも5種の方が高い値がつけられますから、3種のコアワクチンに2つのノンコアワクチンをくっつけて5種として販売しているパターンが多いってことです。

一般に5種というと、以下の5種のパターンが多いです。


<コアワクチン>
・ジステンパー
・パルボ
・アデノ(Ⅰ型、Ⅱ型)

<ノンコアワクチン>
・パラインフルエンザ
・コロナ


メーカーによって、アデノをⅠ型とⅡ型に分けて考え、コアワクチンだけで4種とカウントし、それにノンコアワクチンのパラインフルエンザとコロナを抱き合わせて全部で6種とし、6種を最低の選択肢としているところもあります。

※これについては次回のブログで更に詳しくお話しますね~!



一部の製薬会社ではコアワクチン3種のみの混合ワクチンも製造していますが、多くの獣医さんと契約している大手の製薬会社では5種(または6種)盛り合わせのセットメニューが最低ラインになっているので、飼い主さんのほとんどが5種から11種の中から選ばざるを得ない状況・・・ということになっているんですね~。


そういうことを考えると、多くの施設で「5種以上」と規約に書いている理由が少し見えてきますね。


・一般にコアワクチンを含む混合ワクチンが5種以上のものが多いから。

・「3種以上」と規約に書いているよりも「5種以上」と書いているほうが、その施設が感染予防に力を入れている印象が強まるから。


・・・といったところではないでしょうか?


愛犬に任意接種の混合ワクチンを受けさせている全体の2割の飼い主さんというのは、ある程度愛犬にお金をかけてでも感染症予防に積極的に取り組んでいる飼い主さんという見方ができますから、


「これだけ色々な感染症がありますよ~!多くの種類のワクチンを接種しておけば、それだけ愛犬を感染症から守れる確率が上がりますよ~!」


脅されれば言われれば、より多くのワクチンが含まれた混合ワクチンを選んでしまうのが人情だと言えるかもしれません。



それだけに、獣医師や製薬会社がワクチンについて副作用のリスクも含めた正確正直なデータを解りやすく飼い主さんに説明する責任があると思うのですけどねぇ・・・

正直に説明すると売上が落ちちゃうのがわかっているから、あんまり正直に言いたがらないように見えてしまいますねぇ・・・(-_-;)



というわけで、次回はご自身の愛犬に一体何種の予防接種を受けさせたらいいか?を考えるのに参考になるお話をしたいと思いまーす!




<今日のPet Hotel 11!>

チャコ「ここでお昼寝するのがサイコーに気持ちいいの♪」

ボス「ボクも入れてーーっ!!」

なつ「アタシも仲間に入れてーーっ!!」
チャコ「あっという間に満員ですぅ~」

キミたちはホントに仲良しだねぇ~(^▽^)