2017年10月21日土曜日

いい獣医さんを選ぶコツ(ワンちゃんのオーラルケア)⑤

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。



前回のブログのつづきです。

お読みでない方はコチラからどうぞ~


【なんでカリカリフードなの?(つづき)】


だいたい、カリカリフードって歯石を削り落とせるほど硬くはないですよねぇ?

じゃあなんでカリカリフードだけ食べていると歯肉炎や歯槽膿漏になりにくいかってお話ですが・・・

ポイントは咀嚼回数にあります。


●卑弥呼の歯がいーぜ!


これは、ワンちゃんだけでなく人間にも通じるお話なんですが、食べ物をよく噛む、つまり咀嚼回数が多いということには、たくさんの利点があります。

『卑弥呼の歯がいーぜ!』

これは、学校食事研究会ってゆーところが作った標語だそうです。

人間が1回の食事中に食べものを噛む回数は、現代人はおよそ620回。対して卑弥呼さまが活躍していた弥生時代の人は4000回も噛んでいたんだとか・・・

誰が数えたんだろう ~~っ?すんごく気になりますが、それはちょっとあっちへ置いといて~・・・

ひ・み・こ・の・は・が・いー・ぜ

をひとつひとつひも解いていきませう。

◆ひ:肥満予防

脳みそが満腹感を感じるのは、咀嚼によって満腹中枢が刺激されることによります。

だから、ロクに噛まずに食べるとなかなか満腹になった感じがしなくて食べ過ぎちゃうんですね。


◆み:味覚の発達

咀嚼回数が少ないってことは、味を感じる舌の上に食材がある時間も少ないですね。

だから、よく噛まない人は濃い味付けを好む傾向があるそうですよ。

味付けが薄めでも、よく噛んで味わって食べることができれば美味しいと感じることができるはず。

当然、薄味で満足するんですから、塩分の取りすぎ防止にもなりますね~。


◆こ:言葉の発音

咀嚼することで、口の周りの咀嚼筋という筋肉が鍛えられます。

この咀嚼筋は、噛むこと以外にも、言葉の発音に影響しているんです。

だから、よく噛んで食べない人は活舌が悪く、きれいな言葉の発音ができないといいます。

また、口周りの筋肉がたるんでしまうので、美容にもよろしくないんですね~!

個人的なことですが・・・わたし、ある時鏡を見ていて、右側のほうれい線だけやけにクッキリしていることに気づいたんです。

その時、自分は左側ばかりでごはんを噛んでいるということにハッ!と気づきました。

次の食事から、意識的に右側だけを使って噛むようにしていたら、ほうれい線は解消したんですよ。

でも、今これを書くに当たって、改めて鏡を見てみたら・・・

なんと!左側のほうれい線の方がクッキリしているじゃーあーりませんかっ?!

くっ・・・!!やっちまいました~~~( ノД`)

何事もバランスが大事よね~~ってお話。(お夕飯は左で噛むぞぅっ!!)


◆の:脳の発達

咀嚼は脳を活性化する働きがあります。

ですから、よく噛むことは、高齢者(高齢犬)のボケ防止、子供(パピー)の知育発達学力向上に役立つといいます。

◆は:歯の病気を防ぐ

咀嚼は唾液の分泌を促進します。

唾液は、そもそも体内にウィルスや菌が入り込むのを阻止する役割を担っているくらいですから、殺菌効果や自浄作用があるんです。

天然にして無料のマウスウォッシュ!!(しかも辛くない!スバラシ~♪)

よく噛んで、唾液をたっぷり出すことによって、虫歯や歯周病を引き起こす菌をやっつけてくれるんですね~。

また、唾液は歯の表面の歯垢によるダメージを修復する「再石灰化」も促してくれるんです。

んも~唾液エライ! 出さない手はないでしょう!!

◆が:ガン予防

唾液に含まれる”ペルオキシダーゼ”という成分には、発がんを抑制する作用があります。

癌の発生に関与する、活性酸素の作用を抑えてくれるのですね。

◆いー:胃腸を健康にする

咀嚼することによって唾液の分泌が促進されると言いましたね?

唾液は消化酵素でもあります。

よく噛むってことでまず、食材が細かくなります。

細かくなるってことは表面積がたくさんになります。

そして、消化酵素である唾液がまんべんなく食材の表面に行きわたることで、胃に余計な負担をかけることがなくなり、栄養を効率よく消化吸収できるようになるってわけですね。

よく、ヨダレの多い子は胃腸が丈夫・・・なんて言いますよね。

ウチの子はヨダレが多すぎて胃腸は丈夫だったけど涎掛けに接触するアゴの皮膚がよく肌荒れしてましたがーー・・・・


◆ぜ:全身の体力向上と全力投球

くりかえしますが、この標語は学校食事研究会ってゆーところが考えたんですからね~!

という前置きをした上で、一応説明しますと・・・

咀嚼により、歯や口の周りの筋肉、顎を強くしていれば、「ここぞ」という時にパワーを発揮できるってことでーす。

ついでですから、このセンスの塊みたいな学校食事研究会ってところのキャラのひとり、

”ひみこ”(←呼び捨てで正しいようなので)

をご紹介しま~す。コレ↓(笑)

もっとなんとか・・・・いや、感想は自粛しまーす。

ひみこ




●よく噛むワンちゃんにしよう!


気を取り直して・・・

要するに、カリカリフードだけを食べているワンちゃんに歯周病が少ない理由は、

缶詰のウェットフードのような柔らかいものばかり食べているワンちゃんよりも、咀嚼回数が多いから、たくさんの唾液が分泌され、その唾液が虫歯や歯周病の元になる細菌を洗い流してくれる。

ということだったんですね。

ですから、カリカリフードを食べさせていればそれで安心ってことにはなりません。

ポイントは

よく噛んで食べているか?

ってことです。


Pet Hotel 11!の超長期お預かり犬”ボス”は、カリカリフード大好き犬なのですが、まことに残念なことに彼はせっかくのカリカリフードをほぼ噛まずに丸呑みします(ばかぁー!)

なのに、獣医さんに

『6才のダックスにしては優秀だよ』

と言われた理由には思い当たることがあって・・・

それは、ボールや木の枝をカリカリ噛むのが大好きってことです。

恍惚の表情でカリカリしている物は、彼の本能がそうさせるのか、硬すぎず柔らかすぎない適度な硬度のものなんですねぇ~(もしや天才なのか?)

”ボス”は間違いなく、唾液の分泌は多いですし、胃腸もすこぶる丈夫です。

あとは、意識的にグリニーズだったり乾燥砂肝といった、イヤでもカミカミしないと食べられない物も与えていますよ~。

結局、市販されている歯磨きガムの多くも、まずは咀嚼回数が多くなるように設計されているみたいですね!


●『硬いものほどいい』は間違い


前回のブログにも書きましたが、硬いものをワンちゃんに噛ませることで歯石を落とすというのは、あまり現実的ではありません。

ですから、

『ホーラ、コレで歯石取りだー!』

とか言ってやたらと硬いものをワンちゃんにガジガジさせるのはやめましょうね。

モノには程度ってモンがあるんですからねぇ~~・・・(;''∀'')

硬いものの噛みすぎで歯が折れちゃって、折れた隙間で菌が繁殖して歯槽膿漏っていうケースも結構多いんだそうですよ~( ノД`)


●毎日毎食!が大事


ワンちゃんの場合は歯垢が歯石になるのがものすごーく早くて、わずか3日くらいで歯石になっちゃうんです。

ちなみに人間は2日目くらいから変質し始めて、歯石になるのには28日くらいかかるそうです。

一旦、歯石になったら歯磨きや歯磨きガムで飼い主さんが落とすのは不可能なので、毎日、毎食のケアで予防してあげたいですね。

もちろん歯磨きを毎日してあげるのがサイコーです!

でもそれができない場合は、とにかくワンちゃんの咀嚼回数を増やす努力を(毎日のごはんでそれができるのが一番いいですね)

そしてぜひワンちゃんの歯科検診を受診して、愛犬の口腔内の状態を正しく把握してください。


余談ですが、咀嚼が歯周病の予防だけでなく、ボケ防止胃腸の健康促進ガン予防にもなるとしたら・・・

『ウチの子は毎日歯磨きさせているから、ウェットフードだけでもいいの♪』

という飼い主さんも、今一度”噛むことの大切さ”を見直してみる必要があるかもしれませんね。





10才のハナちゃんは、おりこうにお薬を飲んで、外歯瘻がよくなりました。

いよいよ来週、抜歯に挑みます。

成功するように、祈っていてくださいね~~!



<今日のPet Hotel 11!>


ボールカリカリカリカリ・・・
これも大事な咀嚼なの~♪

ゴディバくんがふたたびお泊りにきてくれました。
「ひさしぶり~~~♪」

前回のお泊りでは風の音を怖がっていたけど
今回もこんなお天気・・・
もしかしてゴディバくん、雨男~?(笑)