2017年10月2日月曜日

怯えから咬むワンちゃん(Kくんの場合)⑥

こんにちは。神奈川県 Pet Hotel 11!(ペットホテルワンワン)のお庭番です。


つづきです。

【愛着障害】が疑われるKくんに、これだけはやらないであげてほしいことを書いていきたいと思います。


【やめさせないで・・・】

Kくんには、唸り声をあげたり咬みつこうとしたりする以外にも、次のような気になる行動がみられます。

●特定のぬいぐるみへの執着


Kくんの心の友は、映画『モンスターズ・インク』に出てくるサリーのぬいぐるみです。

飼い主さんのお話では、

お散歩に連れ出そうとしてハーネスやリードをつけようとすると、サリーのところへ行き、ひどく興奮した様子になってオオカミと化す・・・

とのことでした。

Kくんにとってサリーは”ライナスの毛布”のようなものなのでしょう。


ライナスっていうのはスヌーピーでお馴染みの漫画『ピーナッツ』に出てくる、いつも毛布を手放さないこの子↑です。

余談ですが、ライナスはピーナッツきっての知性派少年ですが、一番の趣味は・・・

ハロウィーンの飾りつけをすること(笑)

ライナスは「かぼちゃ大王」というサンタクロースのような人物がやってきて、プレゼントをくれると信じているんです(かわいいですね♪ クスクス)



ライナスの毛布は、“Security blanket = 『安心毛布』”

と呼ばれるもので、ママやパパなど養育者の分身のような存在です。

不安になったり怖くなったりした時に、触ったりニオイを嗅いだりして気持ちを立て直すんですね。

通常は、ライナスの毛布のようなものに頼っている子供も、成長して心の中だけで大切な人をイメージできるようになると、自然に毛布やぬいぐるみを手放せるようになっていきます。


けれども、愛着障害などの要因で、周囲との信頼関係を深めることができないKくんのような子の場合、なかなか『安心毛布』から卒業することができません。

自分にはコントロールすることができない周囲の人や犬といった生き物に対しては、常に警戒心を解くことができない・・・

でも、お気に入りのぬいぐるみならば、相手から何かをしかけてくることもありませんし、いつだって好きな時に自分の気が済むまでくっついていられるんですから・・・

ライナスの毛布は、無理にに取り上げたりするべきではありません。


Kくんのが、サリーのぬいぐるみで恐怖心や不安な気持ちに折り合いをつけているのだとしたら・・・

サリーを取り上げることによってKくんが気持ちの安定をはかれなくなるかもしれません。

そうなれば、今は出現していない他の問題行動が現れる可能性もあるからです。


●シッポを追いかける


シッポを追いかけてグルグル回る行動は、単に退屈な時にヒマつぶしでする子もいるので、その行動自体が必ずしも問題というわけではありません。

Kくんの場合、このシッポグルグルをするのは決まって不安な気持ちになった時なんです。

しかも、見ていて『大丈夫か?』と感じるくらい、狂ったように回り続ける・・・

こういったシッポグルグルは、常同行動のひとつと考えられているんです。

常同行動っていうのは、文字通り同じ行動を繰り返すことなんですが、シッポグルグル以外にも、おもちゃを投げることを繰り返したり、自分の身体の一ヶ所を舐め続ける子もいて、その子によっていろいろです。

まあ、現実逃避ですよね。

ひとつの行動に没入することで、今感じている不安や恐怖から気をそらしているわけです。

常同行動は、厳密に言うとその原因はさまざまなんですけれど(先天的な発達障害が原因の場合もあったり・・・)根本原因は異なっていても、直接原因は乱暴に言い切ってしまえば”ストレス”っていう風に解釈して大丈夫かと思います。

Kくんの場合、愛着障害そのものがシッポグルグルの原因ではないかもしれません。

ただ、愛着障害によって周囲との関係がうまく築けず、常に不安と恐怖にさらされていることが、シッポグルグルの原因になっている可能性はあります。


Kくんの

サリーのぬいぐるみへの執着

シッポグルグルの常同行動

これら2つの行動は、おそらく愛着形成がうまくいって愛着障害を克服すれば、いつのまにか消えてしまうものではないかと推測しています。

だから、表面的にこれらの行動を無理矢理やめさせることは、する必要がないばかりか、むしろ、わざわざしない方が安全なのではないかと感じています。

もちろん、自分のシッポを咬みちぎってしまうといった、自分自身を傷つけてしまうほどの常同行動が現れたときは、獣医さんに相談するなどして止めさせる必要があります。

けれどもKくんの場合は、今現在そこまで極端な状態ではありません。

更に、一番ストレスに感じている

『こちらからKくんに声をかけたり触ろうとする』

という場面を最小限にしてあげることによって、今以上にストレスが増えることはないと思いますので、常同行動がエスカレートする可能性は低いように思います。


長くなったので、つづきはまた次回にしまーす!

ハロウィンの飾りつけをしなくっちゃ(←ウソばっかり)


<今日のPet Hotel 11!>


2度目のお泊り。やんちゃ盛りの海くんです♪
踏みつぶされそうになって
「勘弁してよ~」って顔の”ボス”(笑)

”ボス”が怖がっているブリキのゴミ箱も
海くんにとっては楽しいおもちゃ♪

ボール遊びもだーーい好き♪

こうしてじっと休憩しているのは、ほんの短い時間だけ

1日の大半をじっとして過ごす”なつ”とは大違い・・・

”なつ”「ちょっと!どこ撮ってんのよっ?!」

ごめんなさ~い・・・(;'∀')